【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第4章】ザフィーラやヴィクトーリアたちとの会話。
【第3節】旧総督家たるフランカルディ家について。
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いた、といったところでしょうか?」
「それで、3億6千万人を60個あまりの世界へピストン輸送って……。他の世界までの距離を考えれば、『物理的に不可能な日程』って訳でもないんだろうけど……15日周期の往復を50年間、休まずに続けたってことは……個々の船は、平均で1200回ほど往復したって意味だよネ?」
「現代の船なら、メンテナンス無しでは、確実に途中で壊れていますね」
「いや。同じ作業を50年間、1200回も休みなく繰り返したら……普通は船が壊れるよりも先に、乗組員の体や心の方が壊れるものなんじゃないの?」
「乗組員も途中で世代交代があった、ということでしょうか?」
カナタとツバサは、当時の状況の「全体的なイメージ」をつかもうとして、可能な限り「具体的な数字」を挙げていったのですが……なかなか上手くはいかないようです。
カナタとツバサは、そうして互いにしばらく首を傾げ合ってから、また新たな疑問をエドガーにぶつけました。
「それに、『60個あまりの世界に分かれて移り住んだ』と言っても、決して『均等割りで600万人ずつ』って訳じゃなかったんだよネ?」
「やはり、ミッドに来た人が一番多かったのでしょうか?」
「そうですね。やはり、『移民先には、〈最後のゆりかごの聖王〉であるオリヴィエ陛下を慕ってミッドを選択する』という人が圧倒的に多く、最も信頼度の高い推計によると、移民全体の実に六分の一ほどがミッドチルダに来たそうです」
「じゃ、全部で6千万人も?!」
「ちなみに、当時のミッドの総人口というのは?」
「多めに見積もっても、せいぜい6億人程度だっただろうと言われています」
エドガーの説明に、カナタとツバサは思わず絶句しました。
「……住民10人につき移民1人って……」
「それは、当然、社会構造が保たないと思うのですが?」
「そうですね。普通に考えれば、当然そうなのですが、『聖王オリヴィエは〈ゆりかご〉を降りた後も二年ほどの間は生きていた』という話ですから、おそらくは、その間に、聖王教会だけでなく、フランカルディ家にもいろいろと指示を与えていたのでしょう。
彼女の死後、十年あまりを経て、ベルカ世界での戦乱が完全に終結すると同時に、聖王家の主導によってベルカ世界からの〈大脱出〉が始まった訳ですが……その時には、フランカルディ家はすでに『莫大な数の難民を受け入れるための準備』を整えていました。具体的には、その十年あまりの間にひたすら備蓄し続けていた食料を計画的に配給しつつ、みずから領有する土地の大半を彼等のために耕作地として順番に無償で分け与えていったのです」
「え? でも、そこって、荒れ地だったんじゃ?」
「はい。かつては確かにそうだったのですが、ちょうど聖王オリヴィエが亡くなった頃から、ミッドでは急
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