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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第4章】ザフィーラやヴィクトーリアたちとの会話。
 【第3節】旧総督家たるフランカルディ家について。
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ナタとツバサは驚愕の表情もあらわに、互いにそんな言葉を交わします。

 そして、エドガーは二人の視線が自分の側へと向き直るのを待って、また説明を続けました。
「いえ。次元航行船の寿命が50年に満たないというのは、あくまでも現代人の感覚です。艦船に限らず、古代ベルカで造られた魔導機器の(たぐい)は、いずれも耐用年数が異常に長いのが特徴で……実際に、『何百年も前に造られたまま、メンテナンスのひとつも無しにずっと放置されていたはずの機械が、そのまま何の問題も無く動いた』という事例は、幾つも報告されています」
「えええええ?!」
「それは! 今となっては、もう全くの『謎技術』ですね!」
「ええ。おそらく、保存魔法の一種だろうとは思うのですが、残念ながら、この点に関する限り、我々の魔導技術はいまだ古代ベルカの足許にすら及んではいません」

 続けて、エドガーは驚くべき事実をさらりと語ります。
「それに、当時の移民船は、どれも『一万人規模の移民』を一度に移送することができたそうです」
「ええ……。それって……ボクらが、今この(ふね)で使ってるようなサイズの船室に10人ぐらいずつ押し込んだとしても、相当に巨大な次元航行船になるよね?」
「いえ。当時の移民船には、移民用の船室などありませんでした。移民用の区画では、壁がすべて『横倒しになったハチの巣』のような構造になっており、そうした六角柱の形をした細長い穴の中に、移民たちは一人ずつ丸太のように詰め込まれていったのです」
「それは……全く身動きが取れないと思うのですが?」
「はい。自前の次元航行船で移民した王侯貴族らは別にして、一般の移民は『ベルカを()つ前に睡眠薬を飲まされ、実際に眠ってしまう前に自分でハチの巣穴に(もぐ)り込み、現地に到着すると叩き起こされ、また自分で巣穴を出て、そのまま下船させられていた』と伝えられています。
 これは、現代の感覚では、いささか非人道的な手法にも見えますが、実際には、『船内での食事や排泄(はいせつ)の問題を回避することができる』という意味で、非常に合理的な手法でした。事実、ゲボルニィやテルマースが滅亡した際にも、よく似た手法が用いられていたと言います」
「食事と排泄か……。確かに、それは大問題だなあ……」

「では、移民船の総数はそれほどの数ではなかった、ということでしょうか?」
「はい。これもまた、ユーノ教授の推計になりますが、『最終的には現地で解体し、貴重な素材やパーツとして再利用されたはずの、当時の移民船に由来する物資の現存量』などから推定して、移民船の総数は『すべてが一万人乗りだった』と仮定して、せいぜい30隻程度だっただろう、とのことです」
「毎日2隻ずつが出航していたと仮定すると、すべての移民船は平均15日周期で往復を繰り返して
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