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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第4章】ザフィーラやヴィクトーリアたちとの会話。
 【第3節】旧総督家たるフランカルディ家について。
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うことではなく、ただ単に『これ以上の援助は、もう必要ありません。今まで長らくありがとうございました』と頭を下げて認めてもらった、というだけのことなのですが……。
 ともあれ、この『正式な独立』から『古代ベルカの滅亡』を経て『時空管理局の創設』に至るまでの460年あまりが、ミッドの歴史で言うところの『中世』です。独立を起点とする『旧暦』それ自体は540年ほど続いたのですが、管理局創設以降の、最後の75年ほどは『近代初期』、もしくは『近世』という位置づけですね」

「あ〜。確か、一貫校ではその辺りから習ったような記憶が……」
「ええ。歴史のテキストは、確か、管理局の前身である〈九世界連合〉についての簡単な説明から始まっていたと思います」
 エドガーはそれに大きくうなずきながらも、さらに解説を続けます。
「しかしながら、ミッドが政治的に独立した後も、フランカルディ家の立場はさほど大きくは変わりませんでした。あまり表舞台には出ないようにしながら、独立政府の活動をそれとなく見守り、助け続けたのです。そのためでしょうか、フランカルディ家がミッド〈第一大陸〉の北側およそ三分の一をそのまま領有し続けたことに関しても、当初は不平を言う人など一人もいませんでした」

「え? でも、北側三分の一って、結構、穀倉地帯とかなんじゃないの?」
「ああ。それは、後に気候が温暖化してからの話です。当時はまだ、ミッド全体が今よりもずっと寒冷な気候だったので、それらの土地はおおむね人の住めない荒れ地でした。ですから、独立政府としても『元総督の家系だから、フランカルディ家には特別に広大な土地の領有を認めていた』と言うよりは、むしろ『手に負えない荒れ地の維持管理を、頭を下げてフランカルディ家にお願いしていた』に近い状況だったようです」
「無人の土地なのに、維持管理が必要だったんですか?」
「ええ。無人の荒れ地を無人のままに放置しておくと、そのうちに犯罪者や不法滞在者などが勝手に住み着いて、次の世代が既得権を主張し始めてしまいますからね。それを避けるためには、そうした土地を定期的に『(くま)なく巡回警邏』することが必要なのですが、当時の独立政府には、まだそれだけの予算も人員も無かったのです」
 エドガーは、カナタの疑問にもツバサの疑問にも、すらすらとそう答えました。
 エドガーの流暢な説明に、双子は感心した表情で何度も小さくうなずき、ヴィクトーリアもまた思わず感嘆の声を上げます。
「あなたって……そういう解説を、本当に『即興で』スラスラと喋れるのね……」
「まあ、これが取り()ですから」
 執事はさわやかに笑って流し、また話を続けました。

「中世の前半には、ミッドチルダの先進性に()かれて、他の七つの有人世界からは移民が(あい)()ぎましたが、大
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