【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第4章】ザフィーラやヴィクトーリアたちとの会話。
【第3節】旧総督家たるフランカルディ家について。
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りもむしろ『保護領』に近い代物で、ミッドチルダも差別や搾取などは全く受けていませんでした。それどころか、純然たる援助も多く、経済的にはほとんどベルカからの持ち出しばかりで、聖王家としても完全に赤字経営だったそうです」
「ああ……。それは、確かに『植民地』とはとても呼べませんねえ」
「まあ、実のところ、『アムネヴィアにある〈本局〉の存在を他の諸王の目から隠匿することが本来の目的であって、他の十一世界は元々ただのカモフラージュでしかなかった』という説も有力なんですが……それでも、やはり、八つの有人世界には『植民地総督』のような役職を置くことが、形式の上でも実務の上でも必要でした」
「その『植民地総督』は、最初のうちこそ、どの世界でも何年かの任期で交代していたようですが、次の世代になると、その役職はもうすっかり世襲制となり、選ばれた八つの家系がそれぞれの世界に根を下ろしました。そのようにして、ミッドチルダに土着したベルカ貴族が、フランカルディ家なのです」
「え? それって、つまり……当時のミッドで一番偉い人ってこと?」
「と言うよりも、それは、事実上、『ミッドの統治者』だったのでは?」
「でも、あの時代に『統治者』って言ったら、普通は『王様』のことだよね?」
双子の口調は驚愕に満ちたものでしたが、それでも、エドガーは淡々とした口調で説明を続けました。
「そうですね。平たく言ってしまえば、当時は『ミッドの王家』も同然の存在だったのでしょう。実際に、『元々はベルカ聖王家の分家だった』などという噂もあります。
ただ、実際には、フランカルディ家はあくまでも名目上の統治者として君臨していただけで、実質的な支配はほとんど行なっていませんでした。立法も行政も、当時すでに機能していた『ミッド人による、ミッド人のための自治政府』に大半の作業を一任していたのです。それで、自治政府の方も『普段は自力で自治を行ないながら、自分たちの手には負えない状況に陥った時にだけ、フランカルディ家に陳情して、ベルカ聖王家に援助を求める』といった具合だったようですね」
「うわ〜。何だか、予想以上に、ミッドがダメダメな世界だ〜」
「普段は勝手気ままな一人暮らしをしていながら、困った時にだけ親に金をせびる若者、みたいな感じですか?」
「まあ、選んで悪く言えば、そういうことになるんでしょうけどね。(苦笑)それでも、ミッドは当時すでに豊かな固有の文化を保持しており、直轄領にある八つの有人世界の中では、最も平和で先進的な世界でした。ただ『ベルカ世界に比べれば、まだまだ力の差がありすぎた』というだけのことだったのです。
そんな訳で、ミッドは今から630年以上も前に、他の保護領や植民地に先駆けてベルカからの独立を果たしました。もちろん、それは『戦って勝ち取った』とい
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