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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第4章】ザフィーラやヴィクトーリアたちとの会話。
 【第2節】三人の陸曹たち、来室する。
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して、ザフィーラさんのことは常々、目標にさせていただいております」
「……そう言う割には、あなたは……」
 ヴィクトーリアはふと、ジト目で執事を睨みつけましたが、エドガーはそのキツい視線をさらりと受け流して、また話を先へと進めました。
「そして、最後になりましたが、こちらの小柄なお二人は……」
「名前は、こちらがカナタで、こちらがツバサだ」
 ザフィーラは、エドガーの言葉を遮るようにして、不意にそう口をはさみました。二人の苗字をわざと省略しているのは、話題が「高町なのは」に及ぶのを防ごうとしてのことでしょうか。

「どうも、初めまして」
「よろしくお願いしま〜す」
「実を言うと、この双子の姉妹は、アインハルト執務官とは身内も同然の間柄でな。まだ12歳の二等陸士なんだが、足手まといにならぬ程度の実力は充分に(そな)えているので、今回の作戦にも急遽、参加してもらうことになった」
「え? 姉妹なんですか? 兄弟じゃなくて?」
 フェルノッドは迂闊(うかつ)にも、つい思ったままの内容を口にしてしまいます。
「私たちは普段から、こんな格好をしているので、よく間違われるんですが」
「こう見えても、ボクら、フツーに女の子ですから」
「いや。あの……。それは……ど、どうもすみませんでしたっ!」
 フェルノッドは狼狽の表情もあらわに、年齢が自分の半分しか無い小児(こども)たちに向かって深々と頭を下げました。どうやら、かなり生真面目(きまじめ)な性格のようです。
「いえ。どうか、そんなに気にしないでください」
「ボクら、その種の反応には、もう慣れてますから。バラム陸曹と同じで」
《カナタ! その一言は余計です!》

 一方、ジョスカナルザードは、フェルノッドの恐縮ぶりを見ると、ここぞとばかりに反撃を始めました。
「お前の目は節穴かよ。男か女かなんて、(ひじ)関節を見ただけでも区別がつくだろうに」
「解らねえよ! て言うか、何だよ? そのマニアックな見分け方は!」
 カナタは慌てて自分の肘とザフィーラの肘を見比べましたが、さっぱり解りません。
 そして、ジョスカナルザードは双子の方に向き直ると、自信満面にこう言ってのけました。
「大丈夫だよ、二人とも! 君たちはあと四〜五年もすれば、きっと道行く男どもがみな振り返るほどの美女になる。このオレが保証するよ!」
「いや……。お(ぬし)に保証されても……」
「ナニ言ってんの、旦那! 自慢じゃないけど、オレはこう見えても、女を見る目だけは確かなんだよ?」
「ちょ! 『だけ』とか。お前、それ、ホントに自慢になってねえぞ!」

 ジョスカナルザードとフェルノッドは一瞬、互いに険悪な目つきで(にら)み合いましたが、そこで不意に、ヴィクトーリアが小さな笑い声を漏らしてしまいます。
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