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邪教、引き継ぎます
第三章
20.最後の巨人族
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思うところがあったようである。

「ギガンテスさん、お名前はなんとおっしゃるのでしょうか?」
「おれ、リアカーン」
「リアカーンさん。すみませんが、いったん私を降ろしてもらってよいでしょうか?」
「ああ。いいぞ」

 雪の上に降りたフォルは、ギガンテス・リアカーンに対し、近くで見ている白い少女を手で示した。

「あの、あちらに立ってらっしゃるミグアさんを、今少しだけ肩に乗せていただくことはできますか?」
「いいぞ」
「ちょっと待って。なんでわたしが乗る話になってんの」
「え、でも、まだギガンテスさんに乗ったことはないですよね?」
「あるわけない」
「ならぜひ乗せてもらいませんか?」
「いや、いいって」
「そんなことおっしゃらず。なかなかこういう機会もないと思いますので」
「だからさ。『いいえ』って答えてもその後が変わらないなら聞く意味ないって」

 腕を無理やり引っ張られて連れてこられた少女ミグアが、右肩の上に乗せられた。

「どうです?」
「……悪くない」

 少女は景色を眺めながら、「強力な護衛としても、ね」と付け加えた。



 ◇



 にぎやかなフォル一行が完全に見えなくなると、ミグアは祠に戻ろうとしたがすぐ立ち止まり、近くの大きな岩に話しかけた。

「いるんでしょ。出てきたら」

 すると、岩陰から年老いたアークデーモンが姿を現した。

「さすが、鋭いのお。気配を消すのは割と得意なのじゃが」
「アンタさあ、暇なの?」
「暇じゃよ。で、どうじゃ。今のところの感想は」
「感想って、なんの」
「あやつの、じゃ」

 少女は一度ロンダルキアの青空を見上げてから、答えた。

「がんばってるんじゃないの。要所でツキもある。周りにも恵まれてる」
「そうか。そろそろおぬしもその周りに加わらないといかんのお」
「出た……ま、言うのは自由か。無視するけどね。さようなら」

 少女はマフラーを直し、祠に戻っていった。
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