第三章
20.最後の巨人族
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、フォルとシェーラには聞き覚えのある音。そしてやや懐かしいものでもあった。
どんどん音は大きくなる。
今日は景色がよいため、すぐにその音の主が見えた。
「ギガンテスさん……」
その大きさは、まるで大木のようであった。
現れたのは青緑色をした一つ目の巨人、ギガンテス。
ハーゴンの神殿崩壊後、フォルは巨人族を一度も目撃したことはない。すでに絶滅済みである可能性も覚悟していた。
フォルは駆け寄り、手は大きすぎて握れないため指を握った。
「ご無事だったのですね! またお会いできてうれしく思います」
「きづいたら、だれもいなくなった。しんでんにいったら、きえていた。みんなをさがしにいった。いなかった。きづいたら、まよってた。やっともどってきたら、しんでんができていた。しんでんにいった。そうしたらここにいけといわれた」
「そうだったのですか。あの、他のギガンテスさんや、サイクロプスさんたちは……」
「たぶん、みんな、しんだ。いきているの、おれだけ」
「そう、ですか……。すみません、あのとき私たちがもう少し善戦できていれば」
「なくな。でも、ないてくれて、ありがとう」
ボロボロこぼれてきてしまった涙を、フォルはローブの袖でぬぐった。
「ごめんなさい。一番泣きたいのはあなたですよね。一緒に神殿に行きましょう、いや、帰りましょう」
「おれ、はこぶ。みんなのっていけ」
「え? うわっ」
巨大な棍棒と道具袋を置いたギガンテスが、大きな手でフォルの体を掬った。
右肩の上にフォルを乗せると、続いてシェーラを左肩に乗せ、左手の上にタクトを乗せた。
タクトが、ギガンテスの腕のきれいな青緑色の皮膚に顔を近づける。
「ねえフォル君、なんかいい匂いしない? ギガンテスって」
「あ、たしかに。父親に連れて行ってもらったサマルトリアの森に近い匂いがします」
「うんうん。これは樹の匂いだ。いいなあ」
「ハーゴンにいわれて、まいにち、からだふいて、くすりぬっている」
ハーゴン――その名前が出てきて、フォルの顔はパーッと明るくなった。
「ミグアさん! 聞きました? ハーゴン様の教えが今も生きているようです」
「なんかいい話にしたそうだけど、別にたいしたことないでしょ、それ」
そしてタクトの好奇心がとまらない。
「しっかしギガンテスって筋肉すっごいよなー。胸を触ってみてもいい?」
「いいぞ」
「うおー、すごいな。大きすぎて両手でも揉みきれないや。ああ、そうだ。ちんこも見ていい? 超デカそう」
「いいぞ」
「おー! 一度見てみたかったんだよねー」
「おいタクト。お前何やってんだよ……」
バーサーカーの少女が左肩の上から突っ込むいっぽう、フォルは少し
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