第十一話 忍術は暴力ではないその五
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「色々とね」
「あって」
「そのやり方次第で警察が動かないかもと思っても」
その場合でもというのだ。
「動いてくれるし」
「法律は強いんですね」
「言うなら法治国家だと神様よ」
そう言っていいまでの存在だというのだ。
「法律はね、だから暴力はね」
「法律によってですね」
「抑えられてね」
そうしてというのだ。
「罰せられるのよ」
「そうしたものですね」
「そうよ、絶対のものではね」
「ないんですね」
「そこはわかってね」
「暴力は嫌い」
佐京はぽつりとした口調で答えた。
「俺は」
「そうなの」
「忍術は暴力じゃないから」
こう夜空に答えた。
「だから」
「それでなのね」
「俺は嫌い」
一言で述べた。
「絶対に振るいたくない」
「兄様私を叱ったことはあっても」
白華も言われて思い出して答えた。
「殴ったり罵ったことはないです」
「だから嫌いだから」
「喧嘩もですね」
「そう、喧嘩をしたら負け」
佐京はこうも答えた。
「忍術はそうだから」
「隠れて逃げるものですね」
「そうだから」
それでというのだ。
「暴力も振るわない」
「喧嘩は暴力ですね」
「どうしてもという時は戦うけれど」
そうであってもというのだ。
「暴力は振るわない」
「そうですか」
「喧嘩をしても」
それでもというのだ。
「武術を振るうもので」
「暴力じゃないですか」
「忍術は護身術でもある」
「そうですね」
言われてだ、白華も頷いた。佐京にしても彼女にしても忍術のそうしたことも教えられ身に着けてきているのだ。
「自分の身を護るものでもあります」
「だから暴力は振るわない」
「喧嘩になっても」
「自分からは仕掛けないで」
「相手が仕掛けてきたら」
「その時に反撃で」
その形でというのだ。
「最低限で終わらせる」
「そうですね」
「だから当て身を覚えている」
この技をというのだ。
「これを使えば相手は一撃で気絶するから」
「いいですね」
「最低限の一撃」
「それで終わらせますね」
「そう、だから俺は暴力は振るわない」
嫌っているそれはというのだ。
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