第五章
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「いつもお仕事でよくしてもらってますし」
「私も。松君がそう言うなら」
光は彼を見て頷いた。
「それなら」
「大丈夫よ、ここはお寺の中だしね)
茉由はまたこのことを話した。
「だからね」
「悪い妖怪は出ない」
「そうですね」
「そうよ、安心してね」
笑顔で言ってだった。
三人はその何かが出てくるのを待った、すると三人の目の前、夜の寺の境内に赤く吠え盛る炎が出て来てだった。
しゃんしゃんという音を鳴らしながら人魂の様に宙を舞った、見れば形も人魂そっくりである、光はその炎を見て言った。
「これがですか」
「そうよ、このお寺に出て来る妖怪よ」
茉由はその光に答えた。
「そうじゃないかしらって思ったけれど」
「予想通りでしたか」
「ええ」
まさにと光に話した。
「これはしゃんしゃん火ね」
「そうした名前の妖怪ですか」
「そう、何か言ったら出て来るって聞いて」
光にその話をした松岡を見つつ話した。
「やっぱりね」
「その妖怪だったんですね」
「ええ」
まさにというのだ。
「そうだったわ、ただね」
「ただ?」
「この妖怪本当は奈良県に出るのよ」
「お隣ですね」
「天理市の方だったかしら」
「天理教で有名な」
「あちらの桜井市に近い方にね」
そちらにというのだ。
「何でも松永久秀さん絡みでね」
「戦国三悪人でしたね」
松岡はその名前を聞いてすぐにこう言った。
「大仏さん焼いた」
「将軍様も殺して主家も脅かした」
「大悪人ですね」
「斎藤道三さん、宇喜多直家さんと並んでね」
そうしてというのだ。
「三悪人と呼ばれる」
「物凄く悪い人ですね」
「大阪ってその松永さんの主家の三好家の勢力圏だったけれど」
「その後に信長さんが来て」
「秀吉さんがお城築いたわね」
「そうでしたね」
「その三好家がいて」
そうしてというのだ。
「大坂城のあった場所には本願寺があったのよ」
「ああ、あそこですね」
「浄土真宗ですね」
松岡だけでなく光も言ってきた。
「今は西と東に分かれてる」
「あの宗派ですね」
「そう、その総本山があって」
そうであってというのだ。
「信長さんこの辺りで戦っていたのよね」
「じゃあこの妖怪は」
光は今も自分達の前を飛んでいるしゃんしゃん火を見て言った。
「その時に死んだ人の魂ですか」
「大坂の陣でのじゃないのかな」
松岡も首を傾げさせて言った。
「若しかして」
「松永久秀さんって戦国時代の人だし」
「それならね」
「そこまではわからないけれど戦いと関係ある可能性は高いわね」
茉由はこう答えた。
「私が思うには」
「そうですか」
「どちらにしても」
「ええ、戦で死んだ人の魂
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