【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第3章】実験艦〈スキドブラドニール〉、出航。
【第2節】同室のゼルフィやノーラとの会話。
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さて、その実験艦の「上陸部隊用の居住区画」に設けられた四人部屋は、本当に「入口から真っ直ぐに伸びた通路の左右に、手前には手荷物用の整理棚が、奥には大型の二段ベッドが、ただ置いてあるだけ」という、実にシンプルな造りの部屋でした。
一応は、入口のところで靴を脱いでスリッパに履き替える形になってはいますが、その部屋にはシャワーどころかトイレすら付いてはいません。
どうやら、お茶を一杯飲むにも、わざわざ談話室まで行かなければならないようです。
そんな状況で、双子と相部屋になったのは、やや大柄な体格をした金髪と黒髪の二人組でした。彼女らが、入口の方から見て右側の二段ベッドに先に陣取っていたので、カナタとツバサは、ごく自然に左側のベッドを使うことになります。
二組のペアは各々、自分たちのベッドの下の段を長椅子のように使って、横並びに腰を下ろし、互いに向き合った形で、まずは自己紹介を始めました。
こちらの二人組は、首都クラナガン近郊の陸士104部隊に所属する、19歳の一等陸士でした。金髪で少しキツい目つきをしている方が、ゼルフィ・ロータス。黒髪でやや眠たげな目つきをしている方が、ノーラ・マレウザです。
二人とも初等科を卒業してから、新暦88年の春、当時はまだ設立二年目だった「魔法一貫校」に入学しました。彼女らが一年生の時には、まだ学内に三年生は『そもそも存在していなかった』そうです。
(具体的には、首都「第一」一貫校だったと言いますから、カナタとツバサが通った「第二」とは別の学校です。)
二人は一貫校の女子寮で同室となり、91年の春に卒業して陸士となった後も、そのままコンビを組み続けました。昨年の春には、二人そろって陸戦Aランクを取得し、今では首都圏の近郊にある幾つかの陸士隊の中では「荒事担当」の名物コンビとして、それなりに名前を知られているのだそうです。
「じゃあ、次はあなたたちの番ね」
ゼルフィに言われて、カナタはこう語り出しました。
「ボクは、高町カナタ。こちらは、高町ツバサ。ベガティス地方の陸士245部隊から来ました。双子の姉妹で、局員3年目の12歳です」
「え? ホントに、まだ12歳なの?!」
「はい」
「うわ〜。何だか小柄でコドモみたいな体格した人たちだな〜とは思ってたけど、君たち、ホントに見た目どおりのトシだったんだ〜」
普段からの癖なのか、ノーラの口調は何やら妙に間延びしたモノでした。
八神家の中にも「コドモみたいな体格の人」が三人もいるので、ノーラはどうやら、この双子のことも『きっと、あの人たちと同様、見た目どおりの年齢ではないのだろう』と勝手に思い込んでいたようです。
「私たちも、かなり若手のつもりでいたけど、その私たちより七つも年下って
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