【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第3章】実験艦〈スキドブラドニール〉、出航。
【第2節】同室のゼルフィやノーラとの会話。
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いついて来ます。
《ごめん、ツバサ! 何とか上手く誤魔化してヨ!》
「ああ、すいません。私たちは、アインハルト執務官のことを、『近所のお兄ちゃん』的な意味合いで、昔からそう呼ばせていただいているんですよ。内緒の話ですが、実は、互いに家が隣同士なので」
ツバサはいとも平然とそう騙りました。あまり大きな声では言えませんが、こうした「嘘八百」は彼女の得意技なのです。
「あれ? でも、あの人って……確か、ああ見えて、本当は女性なんだよね?」
「ええ。でも、私たちは、いろいろあって『母様の生まれ故郷』にあるお祖母様たちの家で幼年期を過ごしましたので……」
「え〜? なのはさんの故郷ってことは、辺境の管理外世界で〜?」
「はい。ですから、私たちは、魔法のことも管理局のことも、何も知らずにのんびり育ちました。それで、私たちが6歳の夏にミッドチルダに戻って来た時には、アインハルトさんは仕事の都合だか何だかで、もう日常的に男装のままで生活をするようになっていたんです」
「あ〜、そうか〜。確か、アインハルトさんって、執務官になった次の年……今から7年前には、もう男装を始めてたんだっけ〜」
「うん。それで、ボクらも最初、女性だとは気がつかなかったんだよネ」
カナタもようやく気を取り直して、また何事も無かったかのように会話の輪に加わりました。
「それ以来、本人が特に嫌がっていないのを幸い、兄様と呼ばせていただいている訳ですが……私たちは当時から、兄様には何かとお世話になってばかりでしたので、『今度は、私たちが恩返しをする番かな』と思い、志願しました」
「ああ、なるほど。そういう経緯だったのね」
ゼルフィにも、何とか納得してもらえたようです。
そこで、ノーラはふと話題を最初の話に戻しました。
「あ〜。じゃあ、なのはさんたちは今回、六人とも忙しくて、アインハルトさんの救出には来られなかったってことなのかな〜? ね〜。二人は、何か聞いてる〜?」
「いえ。どうやら、特秘事項ばかりのようで、私たちもあまり詳しいことは聞かされていないんですが……」
「そう言えば、ティアナさんは、年が明けた頃だったかに、『今回の案件は、また随分と面倒な代物になりそうだ』って、こぼしてたよネ?」
「ええ。多分、ティアナさんは今も、昨年から続くその案件の捜査をしているんだと思います」
「そうか〜。やっぱり、執務官って、大変な仕事なんだな〜」
そこで、ゼルフィが遅ればせながら、ふと大切なことに気がつきます。
「あれ? ……それでなくても、冷静に考えたらさ。今回の救出作戦は、あくまでも『話し合いによる解決』が前提なんだから、向こうの魔導師たちに格闘で引けを取らなければ、それで充分なのであって……なのはさんやスバルさんみたいな
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