【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第3章】実験艦〈スキドブラドニール〉、出航。
【第2節】同室のゼルフィやノーラとの会話。
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「実は、去年の9月に、私たちの部隊でもテロ対策の講習会があってね。その時、特別救助隊の方から講師として来てくれたのが、スバルさんたちだったのよ」
「ああ。なるほど、そういうつながりでしたか」
「で、私たちも、その時に初めて知ったんだけど、うちの部隊長のハウロン・シェンドリール二佐って人が、元々『スバルさんのお父さん』の親しい友人だか何だかで。スバルさんのことも、以前から個人的によく知ってたみたいなのね。
それで、講習会が終わって、スバルさんが『今日はこのまま直帰だ』と解ったら、うちの部隊長が『だったら、今はちょうど訓練場も空いてることだし、少しウチの若い連中を揉んで行ってやってくれないか?』なんて言い出したのよ」
「ええ? あのスバルさんとガチでやり合ったの?」
カナタはまた、思わず驚きの声を上げました。彼女も、昨年のカルナージでの合同訓練で、スバルの強さは骨身にしみて解っています。
すると、ゼルフィはやや早口で、一気にこうまくし立てました。
「うん。レイヤーで組んだ『古びた街並み』を舞台に、スバルさんが一人で凶悪殺人犯の役をして……ウイングロード? とかいう移動魔法は使わずに、しかも『人体への直接攻撃は基本的に魔法なしで。さらに、トドメを刺す時は必ず所定の大型ナイフで』っていう、かなりメンドくさい条件つきで、模擬戦の相手をしてもらったんだけどね。
ああ! もちろん、本物のナイフじゃなくて、有効打が入ったら『クラッシュエミュレート』が起きるようにプログラムされた、訓練用のデバイスなんだけど。
スバルさんがものすごく軽い口調で『ん〜。大勢で一度に来てもいいよ〜』なんて言うから、私たちも『もしかして、ナメられてるのかな?』って、ちょっとカチンと来てさ。12人で3チームに分かれて、きっちり計画を立ててから、『全員でタコ殴りにしてやる』ぐらいの意気込みで、その1対12の模擬戦を始めた訳よ。時間制限は30分で」
「……で、どうだったの?」
「相手がいくら『元機動六課のフロントアタッカー』でも、あれだけメンドくさい条件で縛れば何とかなるだろうと、わたしたち、思ってたんだけどね〜」
「実際には、全員が倒されるまで、10分とかからなかったわ」
二人とも『我ながら、もはや笑うしかない』という表情です。
「一人あたり50秒未満と考えれば……或る意味、秒殺ですか……」
「わたしとゼルフィは、最後まで粘ったんだけどね〜。結局、スバルさんには一発も当てられなかったな〜」
「こっちは石壁を背にして、気配も消してるつもりなのに、その壁をいきなり裏側から拳の一撃でブチ抜いて来るんだもの! あれ、リボルバーナックルっていうの? あんな魔法があるんじゃ、並みの陸士なんて何十人いたって勝てっこないわよ! て言うか、単独であ
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