暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第3章】実験艦〈スキドブラドニール〉、出航。
 【第2節】同室のゼルフィやノーラとの会話。
[4/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ちました。
「あ〜あ〜、思い出した! あの、ちょっと無口な、恥ずかしがり屋さんだ」
「ええ。フルネームは、確か……マティカ・ロータス。……ロータス?」
 双子は慌てて、ゼルフィの顔を見つめます。
「うん。この子、実は、私の妹なの」
「うっわ〜〜!」
 カナタは驚きのあまり、大きな声を上げながらそのまま後ろへ、ベッドの上へと派手に倒れ込んでしまいました。
「世界は広いのに、世間は狭いな〜!」
 その「妙にオッサンくさい」しみじみとした口調に、ゼルフィとノーラも思わず笑ってしまいました。

「え……。じゃあ、ゼルフィさんもベガティス地方の出身なんですか?」
「うん。でも、あの辺りは、何て言うか……かなり田舎だからね。(苦笑)あんまり良い魔法学校も無かったから、私は初等科を出た時に、思い切って上京したんだ。あの子は私によく(なつ)いてたから、その時には結構、泣かれちゃったんだけどさ」
「一貫校の一年目とか、もう毎日、欠かさずにメールが来てたよね〜」
「ああ。あの頃は、あんたにも迷惑かけたわねえ」
「いや〜。そんなコトは別にいいんだけどさ〜」
 そこで、カナタがようやく起き上がったのを見て、ノーラはまた双子の方に向き直り、少し相方(あいかた)を茶化すような口調でこう続けました。
「卒業して局員になってからも、ゼルフィったらね〜。毎年、初等科学校が夏休みの時期を選んで休暇を取って、妹さんに会うためだけに、わざわざ里帰りしてたのよ〜」
「だって、しょうがないじゃない! 私が帰らなかったら、あの子、自分の方から私に会いに上京する、とか言い出すんだから! あの子の宿泊先の手配とか考えたら、そっちの方がよっぽど手間がかかるわよ!」

 何やら気恥ずかしいのか、ゼルフィはそこまで一気にまくしたてると、また唐突に例の画像を指さし、話題を元に戻しました。
「そんなことよりもさ! なんで、二人は髪、切っちゃったの? このまま伸ばしてた方が、今よりもっと可愛かったのに」
「いえ。ボクらは元々、こういう髪型なんですヨ。その時は変装で『つけ毛』をしていただけで」
「ああ、そうか……。潜入捜査なんだから、言われてみれば、ちょっとした変装ぐらいは当たり前よね。……なるほど、これじゃ、探しても見つからない訳だわ」
「え? 探すって、何?」
「この数年、私は夏に里帰りする度に、妹から『今年は学校でこんなことがあった。あんなこともあった』と、いろいろ雑多な話を聞かされるのが、恒例行事になってたんだけどね。去年の夏は、もう最初から最後まで、自分たちを助けてくれた『謎の転校生姉妹』の話ばっかりでさ。
 あなたたち、あの初等科学校では事件の後、みんなの『憧れの(まと)』になってたらしいわよ。中には、あなたたちのことを本気で探してた子もいたんだって」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ