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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
憤慨するあたしは、彼女を殴る
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有り得ないほどに裂けて三日月形に。
目もまるでくり抜かれたように真っ黒で、そして頭を細かく震わせながらケタケタと笑いだした。

「これは…!!」
「前だけじゃない!周り見て!」
「周り…っ!?」

武蔵さんに言われ周囲を見渡すと、囲まれてる。
前後左右。子供達が皆三日月形に口を歪め、頭を細かく震わせながらケタケタと笑っている。

「囲まれております!!このままでは!!」
「ええ、私達もこの子達の仲間入りかもね!」
「それは勘弁だな。」

ケタケタケタケタケタケタ
笑い声の不協和音。
悪い気の流れが辺りを支配し、具合が悪くなる。
しかし、

「でも…悪意があるのなら…叩き斬るまでッ!!」

武蔵さんが動いた。
踏み込み、その刀で前方の子供達を纏めて切り裂く。

悲鳴をあげ、霧散する幽霊。
叫んで消えたあたり、攻撃は効いているのだろうか?

「血は出ないけど斬れば死ぬ!ならなんの問題もなし!!」
「既に死んでいるが。」

そうしてマスターの大和さんもまた、涼しい顔をしながら刀を抜き、魔力を迸らせ駆けた。

物理が効く。
なら…!

「切り抜けるよ紫式部!!」
「はい!!」

あたしの魔性絶対殺す攻撃も通るし
香子の魔性特攻はもっと効く!!

「…!!」

そうして抵抗すると、幽霊は皆襲いかかる。
両手を伸ばし、こちらに突進してくるも驚異では無い。
向かえば斬る、殴る、陰陽術のカウンターが待っている

やはり子供を殴る蹴るなどの暴行を浴びせるのは少し気が引けるが、ここで情けをかけてはダメだ。
下手したら、私も連れていかれる≠ゥら。

「少し数が多い。ジリ貧で押しやられるぞ。」
「なら一掃してやる!!香子!!」

個々で撃破するのも良いが、少々骨が折れる。
だからあたしは、香子に宝具の指示を出した。

「それでは詠み上げます…『源氏物語・葵・物の怪(げんじものがたり・あおい・もののけ)』…!」

怨み、呪詛。
それらに紐付いた哀しみの詠が死に至らしめる。
ただの霊ではなく、悪霊となり魔性と堕ちた彼らには効果覿面だ。
宝具を受けた彼らは次々に消えていく。

が、

「…まだいる…!!」

幽霊は、まだまだいる。
次々とどこからともなく現れ、またケタケタと笑い出す。

しかし、

「…?」


何か、見えた。

「苦しい…?」

現れた幽霊。その気の流れ。
それが、一瞬だけ何かを訴えた


「あ、葵様?」
「助けて…って、言った?」
「た、助けて…?」

身体が動く。

右手に気の流れを集中させ、駆ける。
目指すは、先程の助けを求めた幽霊。

「あれだ…!!」

今は周りと同じよう
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