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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
憤慨するあたしは、彼女を殴る
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一宿一飯の恩もありますし!それにここのうどんは美味しいのなんの!」

あたし達以外にも、調査に参加した人がいる。

それがこの2人、ついこの前出会った武蔵さんと大和さんだ。

「困ってあたふたしていたのでな。気になって声をかけてみたら任された。」
「まぁこの世界じゃゴーストだろうと普通に斬れちゃいますし、化け物退治なら私と大和くんにおまかせってことで!」
「なるほど…。」

そういって武蔵さんはニコニコしている。
緊張感が無いのだろうか?

「それとだ。葵。」
「はい?」

大和さんがあたしを呼ぶ。
というか、この人会って間もない人をいきなり下の名前で呼んでくる。
無愛想に見えてまぁ親しげだし、距離感がよく分からない。

「どうにも嫌な予感がする。油断はしない方がいいだろう。」
「嫌な…予感。」
「そうだ。ここの空気、昼はそうでも無いのに夜は何故だか淀んでいる。」

空気の淀みというと、やはり…


「…!!」

その瞬間、今までヘラヘラしていた武蔵さんが急に険しい表情になる。
キュッと結ばれた口、鋭い眼光。
刀に手をかけ、今にも鯉口を切ろうと戦闘態勢に入っていた。

「大和くん、予感的中。」

それだけ言って、前を見る。
そこには

「いた…!!」

本当にいた。
子供の幽霊。
青白く、少し地面から浮き、無表情で手招きをしている。

「子供の幽霊って言うと、あまり害の無いような気もするけど…」
「いいえ、葵様。あれは間違いなく悪霊です…!」

香子もかまえる。
間違いなく悪霊…そういった訳が、すぐに理解出来た。

「何か…変だ…。」

気の流れを多少操作できるようになった結果、大気の気の流れも読めるようにはなった。
そして今、ここに流れている気の流れは、良くない。

良くない方の気が漂っている。
後悔、渇望、羨望
それが子供達側からこれでもかと漂ってくる。

そうか…分かった。

「生きている子供が…羨ましいんだ。」

世界崩壊の際、多くの人がモンスターに蹂躙され死んでいった。
無論、その中には子供も含まれる。

子供というのは思いが強い。
それが死後残滓として残り、ここを漂い続けてる。
それが形を成して、それで…

「三笠の子供達を見て羨ましく思ったのでしょう。いつも笑顔で、暖かくて、大人達に囲まれ、さながら1つの家族のように過ごす。彼らには、それが羨ましかった。」

それが、幽霊の正体。
しかし、なんだろう。

羨ましい以外にも、何か、明らかな悪意が読み取れる。

これは…


「ぜんぶ、こわしてしまえ=v
「!!」

次の瞬間、子供達が一斉にこちらを見る。
ニタリと笑い、その口は
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