第十一章
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左がライダーになりフィリップが倒れる。亜樹子はその彼を慌てて抱き締めた。
「さあ、御前の罪を数えろ!」
左がドーパメントに告げる。そして亜樹子も言う。
「久し振りねえ、この感触」
「じゃあな、亜樹子」
左、今は仮面ライダーダブルが彼女に言った。
「フィリップの身体を任せたぞ」
「うん、頑張って戦ってきて」
「そうさせてもらう」
こうしてだった。彼は戦いに向かうのだった。
ユートピアドーパメントもだ。前に出てだ。
そのうえでだ。戦いがはじまった。
ライダーとドーパメントは激しい応酬に入った。
拳と拳がぶつかりだ。それで。
吹き飛ばされたのはライダーの方だった。ダブルは大きくのけぞった。
「くっ、こいつは」
「翔太郎、やっぱり」
フィリップが左に言ってきた。
「サイクロンジョーカーではこのドーパメントには」
「太刀打ちできないってのか」
「やっぱりね」
そうだというのである。
「だからここは」
「いや、まだだ」
しかしだ。左はパートナーの言葉を今は否定した。
「あれはまだだ」
「変身しないんだね」
「多分。こいつで終わりじゃない」
それでだというのだ。
「だからあれはその時にとっておかないとな」
「切り札は温存するっていうんだね」
「簡単に言えばな」
その通りだというのである。
「駄目?それは」
「いや、一理ある」
フィリップはパートナーの言葉を今は受け入れた。そのうえでの返答だった。
「この戦いの最後の相手は今僕達が戦っている相手どころじゃない」
「そうだな、だからこそだ」
「あれは取っておこう」
「それ以外にも手はあるからな」
だからだとも言う左だった。
「それでいいな」
「よし、それじゃあ」
「どのライダーになる?」
左はまたフィリップに問うた。
「ここは」
「このままでいいね」
だが、だった。フィリップはこう左に答えたのだった。
「とりあえずはね」
「オーソドックスって訳だな」
「オーソドックスが一番いい時もあるから」
だからだというのだ。
「それは今だから」
「そうだな。こうした正攻法で強い奴はな」
「それでいく方がいい」
フィリップは左にまた話した。
「じゃあここは」
「ああ、わかった」
こうしてだった。二人はその白と黒の姿のまま闘う。戦いは次第に五分と五分になってきた。ユートピアドーパメントはその中でこう言うのだった。
「まさか。力は私の方が上の筈」
「ドーパメント自体はな」
「確かにそうだね」
二人はその彼にすぐに言い返した。
「けれどな。俺達はな」
「違うから」
「違うというのか」
「俺はあれからさらに戦ってきた」
左がまず答えた。
「多くの戦いを経てきたからな」
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