第22話
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9月21日、8:12―――――
翌朝、ヴァン達はアシェンやファン、そしてアシェンの祖父であり、ファンの父である老人と会談を行っていた。
〜桂花飯店〜
「―――――改めてになるが名乗っておこう。―――――ギエン・ルウという者だ。」
「”ルウ”、ということは……」
「……ちょいと引っかかりはしたがまさかそこまでの大物とはな。黒月を代表するルウ家の現当主、”現長老”の一人ってことか。」
「し、下働きのおじさんじゃなかったんですかっ?」
老人―――――ギエンの自己紹介を聞いたアニエスとヴァンはそれぞれ真剣な表情を浮かべ、フェリは困惑の表情でギエンを見つめた。
「フフ……まだまだ青いな、ヴァンとやら。」
「褒め言葉として受け取っとくぜ。―――それで、話ってのは?」
「無論、昨夜のことについてだ。長老会の決定を伝えよう。――――――今日のうちに黒月が動くつもりはない。」
「この期に及んで、か……」
「父上……本当にそれでよろしいのでしょうか?」
ギエンが口にした黒月の長老達の決定を知ったヴァンは真剣な表情で呟き、ファンは僅かに複雑そうな表情を浮かべてギエンに確認した。
「諸々の準備が整うのは明日だ。それまでの手出しは許さん。今日は守りに入り明朝、チョウが戻った時点で全てを片付ける。”『銀』が来るかは、もはやどうでもいい。”」
「で、でも納得できないわ――――――!街のみんなもそうだけど、このままアーロンが黙ってるわけがない!あれから何処かに行っちゃったし、下手したら一人で敵陣に突っ込みかねないわ!??や??は彼を見捨てるつもりなの!?」
ギエンが話を終えるとその場は重苦しい空気によって誰も言葉を発しなかったが、アシェンが辛そうな表情を浮かべてギエンに反論した。
「……無論そのつもりはない。だが難しい状況なのも確かだ。これだけの仕掛け――――私達の報復を”彼ら”は当然予測していることになる。」
「っ……」
「……ま、そうでしょうね。報復すら折り込み済みならそれを見越した次の手も……」
「はい……戦場でも幾つか使われる戦術です。」
しかしファンの説明を聞いたアシェンは反論の言葉が思いつかず唇を噛みしめ、重々しく呟いたヴァンの言葉にフェリは頷いて答えた。
「フフ……無駄な説明をせずに済んで何よりだ。最後に一つ忠告しよう―――明日未明までに煌都を離れるがよい。」
「……噂の”裏”の使い手か。3年前の”ハーケン会戦”以来の虎の子を繰り出すとはな。」
ギエンがある忠告をすると周囲を見回して何かに気づいたヴァンは真剣な表情で呟いた。
「クク、よく知っておる――
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