第七百四十四話 シナゴーグその三
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「ユダヤ教って布教する宗教じゃないから」
「ユダヤ人、イスラエル人って何か」
アンはこうも言った。
「それってね」
「ユダヤ教を信仰するからよね」
「そうでないとね」
さもないと、というのだ。
「もうね」
「イスラエル市民になれなくて」
「ユダヤ系ともね」
「言えないわね」
「若しユダヤ教徒でも改宗したら」
他の宗教にというのだ。
「その時点でね」
「ユダヤ系じゃなくなるわね」
「イスラエルでそうしたら」
ユダヤ教以外の宗教に改宗したならというのだ。
「もうその時点でね」
「イスラエル市民でなくなるのね」
「法律でそうなっているから」
イスラエルのそれでというのだ。
「学校でも教えられるし」
「そこまでなのね」
「だからね」
「改宗する人もいないのね」
「いるけれど」
それでもというのだ。
「もう昔の日本で言うと脱藩位よ」
「坂本龍馬さんみたいに」
「かなりのことよ」
「そうなのね」
「龍馬さんも大変だったでしょ」
脱藩してだ。
「あの人は自由になったけれど」
「罪に問われてね」
「ご本人気にしてなくても」
「周りから見るとね」
「大変だったからね」
そうした状況だったのだ、だから板垣退助も彼の周りの頼みを受けてその脱藩の罪を消す為に動いたのである。
「それと同じでね」
「かなりのことなのね」
「改宗した瞬間に」
まさにその時からというのだ。
「イスラエル市民でなくなって」
「市民権を失って」
「他の国の市民になってね」
「そうなるのね」
「その時にどの国の市民になるか決まるし」
このこともあってというのだ。
「出ていけとさえね」
「その国に」
「言われるのよ、少なくともイスラエルの法律の保護はね」
「受けられなくなるのね」
「そうなるのよ」
実際にというのだ。
「それで身内からもね」
「邪険にされるのね」
「イスラエルって家族社会だけれど」
家長である父親を中心としただ、この考えが強いこともユダヤ教の特徴であるのだ。
「その家族からもね」
「追い出されて」
「本当にね」
「脱藩した坂本龍馬さんみたいになるのね」
「あの人はそうしたくてそうして」
脱藩してというのだ。
「生きていたけれど」
「それで自由にやってたわね」
「あそこまでの覚悟と強さがないと」
さもないと、というのだ。
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