第百二十三話 足が速いとその十二
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「歯にくるわよ」
「そうそう、ライムとか食べたらね」
かな恵はまた弟に話した。
「絶対によ」
「磨かないと駄目なんだな」
「ライムって酸味が強いから」
母が言ったことをそのまま言った。
「歯磨きしないとすぐにね」
「歯が悪くなるんだな」
「イギリスの子から聞いたけれど」
この国のというのだ。
「あそこの海軍の人昔ライムを搾ったお汁をお酒に入れて飲んでたのよ」
「海軍だとか」
「ええ、ビタミン補給でね」
「そうだったんだな」
「ビタミン補給にはいいのよ」
十八世紀末からのことだ、航海の際の壊血病を防ぐ為でありそれを最初に行ったのはクックであった。
「それにはね」
「そうなんだな」
「けれどね」
「歯には悪かったのかよ」
「酸味が強いからね」
だからだというのだ。
「それでよ」
「そうなんだな」
「歯を磨かないでしょ、昔の船乗りさんは」
「そうなのかよ」
「だって歯磨き粉もお水もないのよ」
そのどちらもというのだ。
「お水は真水は貴重で」
「飲む為のお水か」
「歯磨きの後でお口ゆすぐのにはとても」
それこそというのだ。
「使えないから」
「だからか」
「歯を磨くなんて考えもしなかったから」
当時の海軍の将兵達はだ、もっと言えば風呂にも入っていないし他の船の船員達も同じであったのだ。
「それでね」
「歯が悪かったんだな」
「もう皆で」
当時のイギリス海軍の将兵達はというのだ。
「歯はかなりね」
「悪かったんだな」
「虫歯とかでね」
「そうなるんだな」
「だから明男もね」
こう弟に言うのだった。
「そうならない為にも」
「寝る前にはか」
「歯を磨くべきよ」
「絶対にだな」
「そう、絶対にね」
まさにというのだ。
「そうしてね、歯が悪いとね」
「勉強に集中出来ないか」
「健康に悪いし」
歯だけのことでなくだ。
「歯が痛くてあまり寝られなくなったりして」
「ああ、寝不足にもなるか」
「頭痛の原因にもなるそうだし」
「へえ、そうなんだな」
「曹操さんだけれど」
三国志の主人公の一人と言っていいこの人物の名前も出した。
「あの人頭痛餅持ちだったでしょ」
「ああ、それな」
「有名よね」
「あの人それで苦しんでたんだよな」
「原因は虫歯ってね」
そうだったというのだ。
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