第百二十三話 足が速いとその十
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「まだ勉強するしな」
「飲まないのね」
「そう言う姉ちゃんこそな、お好み焼きがあればな」
「お酒よね」
「姉ちゃんだとストロングだろ」
「冷蔵庫にあるわよ」
母も言ってきた。
「五百が三本ね」
「今日はいいわ」
かな恵はこう言って断った。
「お酒はね」
「そうなの」
「私も勉強しないといけないから」
「それでなの」
「ええ、小テストあるから」
それでというのだ。
「勉強するわ」
「姉ちゃんも真面目だよな」
「お勉強はね」
これはとだ、かな恵は弟に答えた。
「忘れないわ」
「昔からそうだよな、だからな」
弟はそんな姉に言った。
「成績もいいんだな」
「そうなるかしら」
「勉強したらな」
それならというのだ。
「やっぱりな」
「成績はよくなるわね」
かな恵自身も言った。
「やっぱり」
「そうだろ、それでな」
「私もなのね」
「成績良くてな」
それでというのだ。
「補習とかも行ったことないよな」
「それあんたもじゃない」
「いや、俺より姉ちゃんの方が成績いいだろ」
実はそうであるのだ、中三の時のかな恵は今の明男よりも成績がよかったのである。尚明男の成績は普通に中の上である。
「それだとな」
「そう言うのね、あんたも」
「そうだよ」
「だからお勉強は最低限やる感じでね」
「やってるのかよ」
「私はそのつもりだけれど」
「俺は結構以上にやってると思うよ、ただそれでもな」
鳴海は姉に首を傾げさせつつこうも言った。
「姉ちゃん商業科に行ったな」
「だって色々資格取れるから」
「それでかよ」
「商業科にしたのよ」
「そうんだな」
「一華ちゃん達と一緒にね」
かな恵は何でもないといった顔で答えた。
「そうしたのよ」
「そうなんだな」
「というかうちの学校偏差値の問題じゃなくて」
「何を勉強したいかなんだよな」
「だから大学の進学率も」
こちらもというのだ。
「商業科も高いわよ」
「八条大学にエスカレーターで行く人多いよな」
「工業科と農業科もね」
「水産科もな」
「うちの学校はどの学科でも大学まで行くのが普通だしね」
八条学園はそもそも八条大学が中心であるのでそうなっているのだ、世界各国の学生達がこの大学で学ぶこともこの大学の教育の目的であるのだ。
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