第三章
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「それは君達がその目で見てこそなのだからな」
「だからか」
「それで今は話さないんだね」
「そういうことだ。それではだ」
霧彦は懐に手を入れてだ。そしてであった。
あるものを出してきた。それは。
「これが依頼のだ」
「おい、そこまで出すのか」
左はそれを見て眉を顰めさせていた。何とだ。彼は札束を出してきたのだ。それも三つだ。
「三百万か」
「如何にも。依頼だけではないからね」
「全部先払いって訳だな」
「その通りだ。君達ならこの依頼を解決できるからね」
それでだというのである。
「だからこそ。ここで全て支払わせてもらう」
「わかった。それじゃあだ」
左も彼のその言葉を受けることにした。そうしてであった。
あらためてだ。霧彦にこう言うのだった。
「亜樹子には俺から話をしておく」
「あの娘にだね」
「うちの事務所の社長だからな」
このことも話すのだった。
「そうしないと話ははじまらない」
「宜しく頼んだよ」
「ああ。ところでな」
今度はだ。左が霧彦に尋ねた。
「今は何をやってるんだ」
「今は経営コンサルタントをやっているよ」
それが今の霧彦の仕事だというのだ。
「依頼は結構多くてね。収入には困っていないよ」
「だからこその三百万か」
「そういうことさ」
「それはわかった」
左は一旦頷いてみせた。そのうえでまた彼に問うのだった。
「妹さんとは」
「生憎だが私は一回死んでいるからね」
「そのまま死んだことにするんだな」
「頃合いを見てまた話すつもりだ。今は偽名を使って生きているしね」
「その名前でなくてか」
「そうだ。それも仕方がないことだ」
霧彦はここでは寂しい笑みを見せた。しかしそれと共に達観しているものもその顔にあった。その二つが共にある顔であった。
「もう薗咲家はないのだからね」
「そうだな。じゃあこれでか」
「帰らせてもらうよ。機会があれば」
「ああ、またな」
こうしてだった。霧彦は事務所を後にした。そのうえでだ。
左とフィリップはだ。あらためて話をするのだった。
「好都合だな」
「そうだね。また園咲家の屋敷があるってことは」
「そこに財団エックスか、その重要な手掛かりが」
「間違いなくあるね」
「じゃあ行くか」
左はすぐに言った。
「今からな」
「いや、今すぐ行くのはよくない」
フィリップは立ち上がろうとする左を言葉で止めた。
「それよりもここは」
「事前に色々聞いておくか?」
「そう。情報収集をした方がいい」
こう左に話すのだった。
「もうすぐ亜樹子ちゃんも戻ってくるから」
「そうだな。役所からそろそろな」
「確定申告から帰る頃だね」
「相変わらず金にまつわる話に縁がある奴だな」
「亜樹子ちゃん
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