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神々の塔
第六十二話 緑の迷宮その十一

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「だがそれよりもだ」
「強いもんがありますね」
「人の気迫と力だ」
「それは咲を読むことよりも強いんですね」
「左様、予言もそうしたものの前ではだ」
 気迫や力、人のそうしたものよりもというのだ。
「何でもない」
「そうですか」
「だから狂人の言うことは気にしなくていい」
 またこう言うのだった。
「一切な」
「そうなんですね」
「予言は絶対のものではない」
「道標ですね」
「そうなのだ」
「そやからですね」
「絶対と思ってな」
 必ずその通りになるとだ。
「喚くのはな」
「予言をわかってるか」
「全くだ」
 それこそというのだ。
「わかっておらぬのだ」
「そうなんですね」
「うむ、しかし世の中色々狂人がいるが」
 ノストラダムスは難しい顔になって述べた。
「中にはな」
「そんなのもおるってですか」
「わしも神霊になってわかった」
「そうですか」
「予言を信じてな」
 そうしてというのだ。
「人類は滅ぶと思い込む者はいる」
「何でも西暦千年位にもいたとか」
 リーが言ってきた。
「仏教でも末世だと」
「そうだがそれこそ街を歩いてもだ」
「人類は滅亡すると喚き散らす」
「そうした狂人が出るとは思わなかった」
 ノストラダムスにしてもだ。
「いや、世の中色々な者がいてな」
「狂人もですね」
「そうだな、しかしそんなに滅亡したいのか」
 ノストラダムスは首を傾げさせて言った。
「狂人の考えなぞわからぬが」
「頭がおかしいので」
「わからぬ。自分だけ滅亡するなら兎も角な」
「人類がですね」
「そこまで滅亡したいか」
「破滅願望は人にありまして」
「それが暴走しておるか」
「脳内で悪質な麻薬分泌して」
 そうしてというのだ。
「同じ位悪質な電波も発信して」
「受信せずにか」
「発信どころか」
「それでそう喚き散らしておるか」
「そうかと」
「ふむ。何となくだがわかった」
 ノストラダムスはリーに答えた。
「そうした者もいることがな」
「そうですか」
「それは何よりだ、ではな」
「これよりですね」
「先に行くのだ」
 こう言って一行を上に行かせた、予言者達との戦はある種の狂気を知ることと共に終えたのであった。


第六十二話   完


                  2024・2・15
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