第二章
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普通に平気で中に入り会場の中を行き来していた、円はそんな彼女を見て少し驚いて彼女に言った。
「コミケはじめてよね」
「そうよ」
由衣はあっさりとした口調で答えた。
「今回がね」
「いや、コミケって人多いから」
実際に会場の中は文字通りの人ゴミの中にある。
「だからね」
「人ゴミの中を進んで」
「しかも熱いのに」
人が多いだけに熱気が凄いのだ。
「それでもなのね」
「平気だっていうの」
「だからはじめてには見えないけれど」
「これ位朝の新宿駅じゃ普通だから」
あっさりとした口調でだ、由衣は答えた。
「だからね」
「慣れてるの」
「毎朝よ」
由衣は円にうんざりとした顔になって言った。
「こんなのよ」
「人ゴミの中なのね」
「その中を進んでね」
そうしてというのだ。
「登校してるから」
「慣れてるのね」
「そうなの」
まさにというのだ。
「私はね」
「ううん、新宿駅ってそんなに凄いのね」
「昭和の頃はもっと凄かったって聞いてるけれどね」
その頃はというのだ。
「今のお年寄りの人達が現役だったから」
「それでなのね」
「そう、だから」
それでというのだ。
「コミケもね」
「普通なのね」
「そう、しかしあんな地獄もね」
由衣はここではジト目になって述べた。
「役に立つのね」
「地獄なのね」
「そうよ、ただ帰りはふらりと新宿降りられるし」
賑やかなその場所にというのだ。
「定期あるからあちこち行けるし」
「悪いことばかりじゃないのね」
「ええ、だからね」
それでというのだ。
「不平不満ばかり持つばかりじゃないわね」
「コミケも楽だし」
「そうなってるし、じゃあこれはっていう同人誌をね」
「買いましょう」
「一緒にね」
円に笑顔で応えた、そうしてだった。
二人でコミケを巡った、そのうえでこれはという同人誌を買っていった。そしてその本達を家で楽しく読んだのだった。
この時からも由衣は電車通勤を続けた、クラスメイト達と楽しく遊び部活にも励んだ。そうして卒業してからもずっと素晴らしい高校時代だと言うのだった。
満員電車の女子高生 完
2024・3・24
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