第三章
[8]前話
「ジステンバーもな」
「怖いのね」
「だからそちらもな」
「気を付けていくのね」
「ずっとな」
こう言ってだった、文太は。
食事を終えたふわりにだ、こう言った。
「薬飲もうな」
「クゥン・・・・・・」
言われたふわりはしょげかえった、そこに彼女の気持ちが出ていた。だが洋介はその彼女に対して言うのだった。
「苦くてまずくてもな」
「飲んでね」
百合子も言ってきた。
「そうしたら困らないから」
「お前の為だからな」
洋介もまた言った。
「だからな」
「しっかり飲んでね」
「いいな、ご飯を食べたし」
「今からね」
「クゥン」
ふわりはざんねんそうだった、だが。
素直で聞き分けのいい娘なので出された薬を自分から飲んだ、そのうえでケージの中で丸くなって休んだが。
その彼女を見てだ、洋介は言った。
「苦くてもな」
「良薬口に苦しね」
「ふわりもな」
彼女自身もというのだ。
「これでな」
「ジステンバーは大丈夫だから」
「安心するんだぞ」
「蚊自体にも注意するけれど」
「今は苦くてもな」
「安心するんだぞ」
「クゥン」
ふわりは納得した感じを見せてそうして頷いた、その彼女を見て文太と百合子は優しい笑顔になってお互いに話した。
「いい娘だな」
「本当にね」
「苦い薬も飲んでくれてな」
「有り難いわ」
「じゃあこれからもな」
「苦くてもふわりの為のお薬をあげましょう」
こう言うのだった、そうしてだった。
ケージの中に戻って眠りに入ったふわりを見た、それだけで二人は優しい笑顔のままでいられたのだった。
天敵はジステンバー 完
2024・3・24
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