第一章
[2]次話
天敵はジステンバー
ふわりの家族である国崎家の面々はふわりへの配慮を忘れない、それで狂犬病の予防接種も欠かさずいつも体調を見ているが。
その中でだ、一家の母である百合子が夫の洋介に話した。
「夏になったら蚊除けはね」
「注意しないとな」
「私達だけでなくてね」
「ふわりもな」
「犬も刺されるのよね」
「毛に覆われていてもな」
それでもというのだ。
「蚊もな」
「血を吸う必要があるから」
「あいつ等はそれが飯だからな」
それ故にというのだ。
「そうしてくるよ」
「そうよね」
「だからな」
それが為にというのだ。
「ふわりの為にもな」
「蚊のことはね」
「しっかりとな」
「やることね」
「ああ」
こう言うのだった。
「さもないとな」
「大変なことになるわね」
「だからな」
それ故にというのだ。
「本当にな」
「蚊には注意しないとね」
「犬にもな」
「今はお薬があるけれど」
百合子はそれでもと言った。
「昔はね」
「それでかなりな」
「犬が死んだわね」
「そうだよ、ニホンオオカミだってな」
この生きものもというのだ。
「ずっと見付からなくてな」
「絶滅したって言われてたわね」
「ドリトル先生が発見するまでな」
この人がというのだ。
「奈良県と和歌山県の境でな」
「それまではね」
「噂はあったよ」
まだ生き残っているとだ、この噂は奈良県と和歌山県の境だけでなく九州の方にもあり北海道ではエゾオオカミの映像がある。
「けれどな」
「それでもよね」
「そう言われていたのはな」
絶滅したとだ。
「それはな」
「乱獲じゃなかったのよね」
「何でもな」
文太は一旦言葉を止めてからあらためて百合子に話した。
「『おおかみ』って呼ぶよな」
「日本ではね」
「これは大きな神様って意味でな」
「日本じゃ狼はそう思われていたのね」
「他の国と違ってな」
文太はさらに話した。
「農耕社会でな」
「あっ、畑荒らす生きもの食べてくれるから」
「それでだよ」
「狼は有り難い存在だったのね」
「これが牧場とか放牧とかやってるとな」
「羊や山羊を襲うから」
「だからな」
そうするからだというのだ。
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