第二章
19.キラーマシン
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な。この怪しい人間の見張りはオレに任せて寝とけ」
格好はボロボロだが体力はすっかり回復したバーサーカーの少女・シェーラも、フォルの隣に座る青年を胡乱げに見ながら、老アークデーモンに同調した。
「怪しい人間っておれのことか。ひどいなあ」
大灯台の最上階で出会った謎の助っ人。名を聞かれタクトと名乗ったその青年は、彼女に指を差されて肩をすくめる。
「思いっきり怪しいだろ。空は飛んでたわキラーマシンは動かしてたわ……だいたい、元々信者でもなかった人間が今の時点でこっち側についてなんの得がある」
ちなみに、彼が復活させたキラーマシンや最上階から取り外された望遠鏡、もう飛べないという台座のようなものについては、明らかに過積載であったため、同じ籠には乗っていない。大灯台の最上階で笛を吹いたら追加でバピラス三体の召集に成功したため、いまフォルたちの後ろでぶら下げられて運ばれている。
ただし、あれだけ高く周囲に何もないところから笛を吹いて三体だけというのは、やはり相当に深刻な個体数の減少があるのではないか、というのが老アークデーモンの考察である。
「得がないからつくんだって。こういうのって不利なほうについたほうが絶対ワクワクして面白いんだから。だいたい、きみだって服がビリビリに切れてておへそ丸出しだし、もうちょっとでおっぱいも見えそうだし十分怪しいと思うよ」
「……バーサーカーは義理堅い種族だ。薬草の恩はどこかで返すが、返せ次第お前は斧でバラす」
「うわ、こわっ。じゃあここでもうちょっと恩を売っておこうかなあ」
「まだ何か持ってきてんのか」
「うん。今の話で思いついたというか。これはきみに着てもらうのがよさそうだ。背の高さもおれと同じくらいみたいだから合いそうだし。色も緑っぽいからちょうどいい」
青年は道具袋に手を入れる。
「はい。こっちに来てからまだ一度も着てなくて清潔だから、安心して」
「なんだこれ、軽いな。少し小さくないか……って、伸びるのか。しかも妙にツルツルで薄いな」
バーサーカーの少女に手渡されたそれは、緑色の服だった。上下には分かれていない。
「それ、おれたちの国での作業服なんだ。こっちでは戦闘服として十分使えるはず。動きやすくて、薄いけど頑丈で、自己修復機能もあるし、動いて熱くなった体を冷やす機能もあるから、戦うときの距離が近そうなきみには相性抜群だと思うよ。こうやってこのツマミを滑らせるように開けて、体を入れて、ツマミを戻していくと、スルスルッとすぐに着られるようになってるんだ。だまされたと思ってさっそく着てみて」
「フン。説明はまったくわからないが、早く着替えたかったから着てみる」
彼女は立ち上がると、全員に反対側を向かせ、着替えた。
「……なるほど。これは
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