第五話 生きていた者達その十
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「この男はかなり強い、いや強いなんてものじゃない」
「そうだな」
シンケンレッドもロンを見据えていた。
「この男は」
「私を御存知の方もおられるようですね」
「御前はある意味において外道衆よりも危険だ」
薫はこうロンに告げた。
「私は今は貴様と戦う為に来たのだ」
「おや、それは御苦労なことで」
「では行くぞ」
薫もここでフォンを出した。そして。
「一筆奏上!」
シンケンレッドに変わった。しかしそれを見てだ。混乱したのはマジレンジャーの面々だった。
「あれっ、シンケンレッドが二人!?」
「どうなってんだ!?」
マジピンクとマジレッドがかなり混乱していた。
「お姫様もレッドなの!?」
「何が一体」
「ちょっと、分身の術なんて使うの!?」
シズカも同じように見ていた。
「侍なのに忍術まで使うっていうの、何て卑怯なのよ!」
「いや、そこは卑怯じゃないだろ」
マジグリーンが彼女に突っ込みを入れる。
「侍でもそういう術使ってもいいだろ」
「というか御前分身とか使えるか?忍者なんだろ?」
「あまり大した忍者じゃなさそうだけれどな」
マジイエローとシンケングリーンはかなり容赦のない問いだった。
「まあそれでもだ」
「これは混乱しても当たり前だけれどな」
「よく見たらお姫様のレッドにはスカートがあるわ」
マジブルーはそれにすぐに気付いた。
「成程、そういうことなのね」
「わかってくれたか」
「ええ、それでだけれど」
「そうだ。あの男はだ」
薫のシンケンレッドはあらためてロンを見て言うのだった。
「このまま放っておいてはならない」
「その通りだよ」
彼女の言葉にマジシャインも頷く。
「彼を倒さないとさらに恐ろしいことをするからね」
「おやおや、私への評価は高いのですね」
彼等に見据えられても慇懃な仕草のままのロンだった。
「光栄ではあります」
「戯言はこれまで。それではだ」
「戦うとしよう」
最後にシンケンブルーが言った。ここでも戦いは避けられなかった。
第五話 完
2010・2・18
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