暁 〜小説投稿サイト〜
色々と間違ってる異世界サムライ
第23話:勇者の計算外その5
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
セインperspective

『円卓会議』
ヒューマンを主とする各国の代表者が集まり話し合う場。
古くからこの場にて勇者が紹介され、名前と顔を覚えてもらう。
さらに魔王討伐への助力要請も行われるため、非常に重要な会議と位置づけられている。
そんな大事な会議に聖剣無しで出席する訳にはいかない。
だが、確かに普通の方法では北の果ての国であるオーサムに行ってからでは間に合わない。
そこで移動時間を短縮する為に、フェアリーに協力を仰ごうと考えたのだ。
かつての勇者達はフェアリーに『妖精の粉』をもらい、空を飛んで移動したという伝説がある。
ならば僕もそれを手に入れるべきなのではと思い至ったのだ。
我ながら大分寄り道が過ぎるが、飛躍的に移動速度が上がるなら許容範囲。
フェアリーも僕を見ればすぐにでもひれ伏すことだろう。
なにせ僕は勇者。いずれ伝説になる存在だ。
ん?ドワーフ?何それ?美味しいの?

フェアリーの里へ向かう道中、幾度となくツキツバ・ギンコの噂を耳にした。
『聖剣を3本も持っている』
『武装したオークの軍団を剣1本で一瞬で粉々にした』
『トレントやバジリスクを苦も無く真っ二つにした』
『たった一振りでグレムリン4体を倒した』
『獣人用弓矢を楽々と完璧に使いこなした』
『120キロの斧を振り回した』
『フェアリーを連れている』
『ツキツバは異世界から来た女勇者』
『バルセイユに偽物がいるらしい』

内容に僕の中のなにかが切れそうだった。
だが、それら全てをあえて無視する。
どうせ尾ひれが付いた噂話だ。
それに本物は僕なのだから、いずれどちらが間違っていたかはっきりする。
今までの僕は功を焦りすぎていた気がする。
勇者であることに囚われ余裕をなくしていた。
これでは失敗して当然だ。
さぁ、里へ行くぞ。

「やめ、あげっ!ぼくはゆうしゃ、あぎゃ!止めろと言っている!殺すぞお前ら!」
「偉大なる種族を捕らえに来たバルセイユの手下め!早く失せろ!」
「ぺっ!帰れ帰れ!」
真上をぶんぶんフェアリーが飛んでいる。
どいつもこいつもガラが悪く、近づいてくる度に唾を吐きかけるのだ。
おまけに見た目と違ってかなり強い。
すでに他の3人は気絶させられダウン状態。
我が身を守るので精一杯だ。
「くそっ!あんな女運が無い不細工負け犬共と一緒にするな!殺すぞ!」
「はははっ!やれるものならやってみろヒューマン!」
「僕は勇者だ!協力しろ!」
「愚かなヒューマン♪心の汚れたヒューマン♪たまたま勇者になれたヒューマーン♪」
「唄うな!耳障りだ!」
僕は愚かじゃない。
僕は正義そのもの。
僕はなるべくして勇者になった。
お前らの言っていることはでたらめだ―――

《警告:魔眼所有者よ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ