激闘編
八十二話 新たなる戦いの序曲
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も申し分ない。
「ご存知でしょうが、こちらはヤン少将。同盟の誇る若き英雄です」
「君の方がもっと若いんだぞ…はじめまして、ヤン・ウェンリーです。よろしく」
「これはこれは…ヤン少将、お初にお目にかかる、小官はワルター・フォン・シェーンコップと申します。宜しくお見知り置きを…同盟軍、いや、同盟の今後を担うお二人の知偶を得られて、まことに光栄の限りですな。小官の未来も少しは明るくなりそうだ」
ウィンチェスターにヤン・ウェンリー…アッシュビーの再来にエル・ファシルの英雄。こんな異名の付く男達が存在する時代…それはまさしく動乱の時代だろう。全くいい時代に生まれたもんだ。
「全くです。大佐の活躍の場はこの先どんどん増えますからね」
「ほう。軍内部の余所者に、その様な場がありますかな?」
「余所者…今では少し変わったのではないですか?」
ウィンチェスターの言う通りだった。今ではローゼンリッターへ一般隊員が配属される事も珍しくなくなっている。誰が言い出したかは知らないが、『同盟市民は皆帝国からの亡命者の様な物ではないか、差別は良くない』という事らしい。今までは補充兵にすら困っていたのが、この先旅団規模への拡大の話も出ていた。ある意味、目の前の男のお陰だった。それほどイゼルローン要塞一番槍、の功名は大きかった。実際、要塞内部ではほぼローゼンリッター独力で戦っていたと言っても過言ではなかった。
「閣下のご配慮のおかげです。ありがとうございます」
「私は何もしていませんよ。ローゼンリッターが先陣と決めたのはシトレ閣下ですから」
「ウィンチェスター閣下…謙遜も度を越すと嫌味に近くなりますよ、そうではありませんか、ヤン少将」
「そうだね。聞いててたまに嫌になりますよ。能力があるのにどこか他人事で」
「それはヤン少将、貴方の事でしょう…それはさておき、大佐、上に掛け合うのはこれからですが、艦隊勤務は如何ですか?」
「艦隊勤務、ですか」
「第十三艦隊付、もしくは私の艦隊付、という事になります。どうでしょう」
「構いませんが、陸戦隊の出番がありますかな?」
「さっき言ったじゃないですか、大佐の活躍の場はこの先どんどん増えると」
「増える、ではなく作って頂ける、という事ですか。それならば喜んで請け合いましょう」
ウィンチェスターにヤン・ウェンリー…これから楽しくなりそうだ。
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