激闘編
八十二話 新たなる戦いの序曲
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うか」
「うーん…本部長が帝国軍のミュッケンベルガー元帥のお立場なら、どうお考えになりますか」
「そうだな…奪還云々はまず置いといて、麾下の艦隊の実力を試したいだろうな。去年の様な不様な負けはミュッケンベルガーとて御免だろう」
「ですね、小官もそう思います」
4月7日12:00
ハイネセン、ハイネセンポリス、シルバーブリッジ三番街、ウィンチェスター邸
ヤン・ウェンリー
「ええとね、そのお皿はあっちのテーブルに並べてくれる?」
「わかりました、ミセス・ウィンチェスター」
「やだぁ。エリカでいいわよ、ユリアン君」
「は、はい…わかりました、エリカさん」
今日はウィンチェスター邸にお邪魔している。第九艦隊司令部と第十三艦隊司令部の主だったスタッフとでホームパーティを開く事になったのだ。私は引っ越すのが面倒なので佐官時代のままの官舎に住んでいるが、ウィンチェスターは将官用の高級官舎に引っ越した。とにかく広い。こんな所に引っ越したらユリアンだけでは掃除に手が回らなくなるだろうな…。
「たまにはこういうのもいいでしょう。キャゼルヌ少将はアムリッツアですし、我々も所属が別々になってしまいましたからね」
「そうだね…またこういう事が出来るとも限らないからね。とりあえず、乾杯」
「乾杯」
こうして見るウィンチェスターは穏やかな顔の好青年だ。だがその頭の中身は同盟の至宝といってもいいだろう。彼は私生活も派手ではないし問題発言もしないから、アッシュビー提督の様に目立つ事は少ない。目立つ事はないが、ここ近年の同盟の軍事的成功は全て彼が絡んでいる。私など彼のおかげ、あるいは彼のせいでとうとう艦隊司令官になってしまった。私などがそうなのだから、このままいけばウィンチェスターは当然軍の最高位に立つだろう。
「ウィンチェスター、私に何が出来るかは分からない、だが約束しよう。君を精一杯支えるよ」
「…どうしたんです、急に」
「前にキャゼルヌ先輩と話した事がある。君が現れてから物事の動きが加速している気がする、ってね」
「そうですか?」
「うん。同盟と帝国、この二つの国家の争いに変化が訪れている。まあ、この先どうなるかは分からない。どうせならこのまま同盟に有利に進んで欲しいけどね。それで戦争が無くなるなら、どういう形であれ人類社会に平和が訪れる訳だ。私も君を手伝おうと思う」
「急にやる気を出してどうしたんです?」
「まあ…あの子が、ユリアンが戦争に行くのは見たくないからね。どういう形であれ、戦争が終われば次に来るのは平和だと信じたいし、平和な世界でユリアンには幸せになって欲しい…とまあ、ささやかながら保護者としての義務を果たそうという訳さ」
「ささやかながら、ですか。私の知る貴方が頑張った訳をやっと理解する事が出来ましたよ」
「
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