激闘編
八十二話 新たなる戦いの序曲
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インハルトの艦隊が存在するって事は、昨年の戦いでヒルデスハイムは死んだのか?いや、だったら一緒にラインハルトも死んでいてもおかしくない…という事はヒルデスハイムは重傷か何かでラインハルトが艦隊を引き継いだのか?でも何でラインハルトが艦隊司令官になっているんだ?死んでないにしてもあれだけボコボコにされたら、昇進なんて出来ない筈だ、ましてや艦隊司令官なんて有り得ないだろ……くそ、主人公補正ってやつか?
「大半の名前は昨年の内には判明していた。常に前線に出ていたヒルデスハイム艦隊が居なくなり、代わりにミューゼル艦隊という新しい艦隊が編成されたという事だな」
いやー、まずいですね…早くヤンさんにフル編成の一個艦隊を率いて貰わないと…。
「そうみたいですね」
「仕掛けてくると思うか」
「どうですかね、此方がイゼルローン要塞を落とした時の様に全艦隊で、という事はないでしょう。十個艦隊という数が正しければ、我々の方が戦力は多いですから」
「……十個艦隊という数字は欺瞞だと?」
「おそらくは。もしかしたら定数の十六個艦隊を揃えるつもりかもしれません。現在、戦力として期待出来るのが十個、という事かもしれませんし」
「という事は今も艦隊戦力の増強は進んでいる、という事かな」
「そう考えていた方がいいでしょうね」
「…君の行っていた帝国の辺境との工作はどうなっている?」
「順調ですよ。あまりおおっぴらにも出来ませんから、穀物の生産に必要なプラントの類いを運んだ後は、此方が関わるのは辺境同士の貨客船の運行のみにしています。それでも住民感情はだいぶ和らぎましたよ」
「ほう。占領後の手間が省けるな」
「占領はやめた方がいいと思います。住民感情がどうとか関係なく、占領は益がありません」
「帝国を倒す上で必要な措置だと思うのだが。違うかな」
やっぱり説明しないと解って貰えないかなあ…シトレ親父、優秀な人なんだけどなあ。帝国の圧政から解放する、聞こえはいいけど、それは民主化を強要するって事なんだ。俺が生きていた現実の世界でもそれはあった。イラク戦争、アフガニスタンでの戦争…社会体制が違えば、他人から強要された価値観は中々受け入れられないものだ。俺にとっての大昔のフランス革命もそうだった。フランス以外の西欧諸国は革命の精神を自国に持ち込まれるのを恐れたし、ソビエト式の社会共産革命も恐れられた。社会システムの変更は、それを強いられる人々にとって痛みを伴うという事を理解出来ないのかもしれない。何しろそれが最後に起きたのは銀河帝国が出来た頃の話だもんな……。
「占領ではなく、彼等の方から同盟に参加したいと考えさせるべきです。彼等自身が考え、選択する。当然彼等の中で話し合いが起きるでしょう。話し合いの過程で多数決という選択が出てくると思います、民主主義の第一歩です
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