激闘編
八十二話 新たなる戦いの序曲
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独り占めしているみたいな言い方は止めてくれ、司令官から頂いた物だ。四百五十八年物の逸品だぞ」
「五十八年物…気持ちは分かるがな、家まで我慢出来なかったのか」
「持って帰る間に澱が舞ってしまったら、折角の風味が台無しだぞ。そんな事態になってしまう前に飲んでしまった方が司令官の御厚情に応えられるというものだ…ほら、グラスを出せ」
ミッターマイヤーは肩をすくめた…なんだ、腹が膨らんでいると思ったら、クラッカーを忍ばせていたのか。持つべき物はやはり話の分かる友だな。
ミューゼル…あの金髪の若者が中将、艦隊司令官になると同時に俺達二人も准将に昇進した。他にも序列とは関係なく昇進している者がいるが、それは全てミューゼルの推薦した者達だ。赤毛ののっぽ…キルヒアイスも大佐となってミューゼルの副官をやっている。味方を、それも一個艦隊を壊滅に追い込んだ俺達が昇進するとは面白い時代になったものだ。そしてあの戦いの後、大きな戦いもなく一年が経った。お陰で艦隊戦力は充実し、錬成訓練もほぼ終了、今では出撃を待つだけだ。
ミューゼル艦隊(一万三千隻)
艦隊司令官:ミューゼル中将
艦隊参謀長:ケスラー准将
作戦参謀:ワーレン大佐
同参謀:ミュラー中佐
副官:キルヒアイス大佐
旗艦艦長:シュタインメッツ大佐
分艦隊司令:ミッターマイヤー准将
同司令:ロイエンタール准将
同司令:メックリンガー准将
「…こんなに旨いワイン、中々お目にかかれないな」
「だから言ったろう、今飲むべきだと」
「卿に誘われた記憶はないんだが…しかし、司令官はワインがお好きなのかな」
「嫌いではないと思うが、何故だ」
「これ程上物のワインともなると、たとえ将官といっても中々手の出せる額ではあるまい」
「ヒルデスハイム伯爵から頂いた物だそうだ。司令官は自分は嗜む程度で味の良し悪しが分からない、それでは伯にも申し訳ないし、ワインとしても味の分かる者に飲まれた方が本望だろう、だから貰ってくれないか…と仰ってな」
「味の分かる者ねえ…だが卿の場合はワインの味より女の味の方が得意だろうな。また、変えたのだろう?」
「まあな…それより女と言えば、ヒルデスハイム伯爵家の御令嬢が、司令官に大層御執心らしい」
「ほう…このまま行くとラインハルト・フォン・ヒルデスハイムという訳か?少し語呂が悪いな…それより、息災なのかな、ヒルデスハイム伯は」
「今は…幕僚副総監という役職に就いて居られる筈だが」
「幕僚副総監…クラーゼン元帥のお守りという訳か。あの敗戦は俺達にも原因がある…申し訳ない事をした」
ミッターマイヤーは呟く様にそう言うと、空になったグラスを突き出して来た。
「おいおい、もう少し大事に飲んで欲しいものだな…そうだな、確かに申し訳ない事をした。だがあれはあれでよかっ
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