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我が剣は愛する者の為に
すれ違う兄妹
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たね。」

「愛紗、元気を出すのだ。」

意気消沈している愛紗を鈴々と桃香が慰める。
ずっと捜していた兄だけに、すぐそこまで居たかもしれないチャンスを逃してしまったのだ。
かなり落ち込んでいたが、すぐに気を取り直す。

「あれが兄様なら、元気そうだったのでひとまず安心です。
 またどこかで会える筈です。」

それは桃香達に言っているのではなく、自分に言い聞かせているようだった。
桃香達もそこには触れずに、宿に戻るのだった。






街を出発した縁達は、豪鬼と美奈の口から街にいた旅芸人について話していた。

「へぇ〜、そんな旅芸人がいたのか。
 俺も聞きたかったな。」

一刀は残念そうに呟く。
そんな中、縁だけ何やら考え事をしていた。

(あの人混みの中から、一瞬だけ愛紗に似た女性を見かけた気がするんだが。)

成長した義妹の姿は見た事がない。
何より、本当に一瞬だったので見間違えだと思い、気には留めなかった。
よくよく思い出すと愛紗だったかもしれない、と考えを改めていた。
既に街は出たので後戻りはできない。

「縁、何か考え事?」

月火が会話に参加しない縁に声をかける。

「いや、何でも」

「黎の下着姿でも考えいたんじゃないのか。
 朝での一件、黎が脱ごうとしたら一番がっついていたのは縁だし。」

その瞬間、優華の双戟が縁を襲う。
本気で殺しにかかってくる一撃を紙一重でかわす。

「やっぱり本気で殺す!!」

「おまっ!
 それはマジで殺しに来てるだろ!!」

『縁様が望むのなら服の一枚や二枚。』

「火に油を注ぐな!!」

「こ・ろ・す!!」

その後、優華が気が納まるまで追い掛け回されるのだった。
そんな中、やっぱり声だけでもかけておけばよかったと、縁は少しだけ後悔していた。
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