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我が剣は愛する者の為に
すれ違う兄妹
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「私も行きたい!」

「よし、一緒に行こう。」

美奈の手を取って、人混みをかき分けて進む。
数え役萬☆姉妹はお金を貰いながら、一人一人にお礼を言っていた。
縁と美奈もお金を持って、彼女達に渡す。

「君たちの歌声、とてもよかった。
 ぜひ、これからも頑張ってほしい。」

「お姉ちゃん達、とっても綺麗だったよ。」

「ありがとう。
 またどこかで会ったら聞いて行ってね。」

ピンクの色の髪をしたロングヘアの女性が縁と美奈の手を握って、笑顔でお礼を言う。

「鈴々もお姉ちゃん達の歌声は凄かったのだ。」

その隣で一人の少女が手に持っているお金を同じ女性に渡そうとしている。

「ありがとう。
 こんなに貰って本当に嬉しい。」

その少女はよほど感動したのか、思い思いの感想を口にする。
縁は少女を少しだけ観察した。
赤い髪にショートヘアーに髪には虎の髪飾りがついている。
一目見ただけで、かなりの使い手である事が分かった。
言いたい事を言い終えた少女は再び人の中に消えて行った。

(もしかしたらどこかの戦場で出会うかもな。)

そう考えながら、美奈の手を掴んで豪鬼の元に戻る。




「ただいまなのだ。」

「お帰りなさい。
 鈴々ちゃんも戻ったし、宿に戻ろうか。」

「そうですね。
 必要な物は買い揃えましたし。」

数え役萬☆姉妹の芸が終わり、解散していく人だかり。
その合間に愛紗は見えた。
背中まで伸びた黒い髪に、見覚えのある横顔。
一瞬だがあの顔はずっと探していた兄の顔にそっくりだった。
その男はさっきの大男と一緒に歩いているようだ。
愛紗は追い駆けようとしたが、人の波がそれを阻む。
何とか掻き分けるが、既に二人の姿はどこにもなかった。
掻き分けるのに必死だったので、大男を眼で追うのを忘れていた。
冷静な愛紗だが、兄に会えるという事に目に奪われ冷静さを失っていた。
一応、辺りを捜したが全く見当たらない。

「あ、愛紗ちゃん、どうしたの?」

突然の愛紗の行動に驚きながら、桃香は尋ねる。

「さっき人混みの間に、兄様の姿によく似た人物を見かけました。」

「愛紗のお兄ちゃんって、耳にタコができるくらいに話していたお兄ちゃん?」

「そ、そうだ。
 でも、耳にタコができるくらい話したか?」

「話していたのだ。」

「それはもう嬉しそうにね。」

二人してからかうように言われ、愛紗は顔を赤くする。

「でも、お兄さんに似た人なら捜さないと。」

「一応、この近辺をくまなく探してみます。」

「手伝うのだ。」

三人は一通り街を見て回ったが、それらしい人影は見当たらなかった。

「これは完全に見失っ
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