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英雄伝説〜黎の陽だまりと終焉を超えし英雄達〜
第20話
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「ハン……別にアンタには関係ねえだろ。」

「そりゃそうだが……そうだな。俺は煌都はたまに寄るくらいの余所者だ。そういう相手だからこそ言える、どうってことのねぇ戯れ言や世迷い言……――――――そんなモンもあるんじゃねえかと思ってな。」

「………ハ。」

ヴァンの指摘に対して少しの間黙ったアーロンは鼻を鳴らした後東方人街方面を見つめて話し始めた。

「―――――別に不満なんて何もねぇ。煌都での暮らしも、皆と馬鹿騒ぎすんのも。舞台はたまに出る分にはアガるし、姉貴や亡くなったオフクロとの想い出もあるしな。」

「…………………」

「黒月もムカつく連中はいるがアシェンの家も含めて馴染みも多い。……ま、さっきも言ったように最近ちょいと疎遠な爺さんもいるが。チョウはクロスベルでの暗闘でヘマして死んだツァオ同様胡散臭ぇがキレるのは間違いねぇし、頭角を現してんのは組織として健全な証拠だ。てめえがどこまでやれんのか、入って腕試しすんのもアリだろう。……ただ――――――……」

「たまにふと、思う時がある。ここに居ていいのか、……自分の居場所はここなのか。」

「っ………」

話の続きを濁すと代わりに答えたヴァンの言葉を聞いたアーロンは驚いてヴァンを見つめた。



「ま、モラトリアムってヤツだ。多かれ少なかれ、誰だって通る。ただまあ――――――お前の場合はちょっと俺に似てるのかもしれねえな。大好きだからこそ離れるしかねえ……愛してるからこそ伝えられない言葉が。」

「アンタ…………クク、映画かなんかの台詞か?顔に似合わずロマンチストじゃねえか。」

ヴァンの指摘に対して目を丸くしたアーロンは苦笑しながらヴァンを見つめて指摘し返した。

「顔に似合わずは余計だっつの!――――――ただま、自分の居場所なんてどこにだって作れるってことだ。此処ではない何処でだろうが、巡り巡って還ってきた場所だろうが。選ぶのはそいつ自身だ―――――違うか?」

「……違わねぇ。てめえとは一リジュたりとも被ってるわけじゃねえが……たまにふと、昏い穴がぽっかりとすぐ足元に開いてる気分になる事がある。根拠があるわけでもねえ……ただの気の迷いか疲れなんだろうが。そんな時、ダチどもや姉貴たちの顔、街の賑やかな明かりも霞んで見えて…………反吐が、でるような気分になっちまう。」

ヴァンの問いかけに同意したアーロンは真剣な表情で自身の心情を答えた。

「……そうか。お前、本当に煌都が――――――生まれ育った街の事が大好きなんだな。そんな風に一瞬でも思っちまう自分自身が許せなくなるくらい。」

「ああ、悪いかよ……!だからこそ許せねえ!半グレどもも、アルマータってのも!悠長に静観してやがる黒月の連中も!俺は俺自身に証明する―――――
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