第二部 黒いガンダム
第五章 フランクリン・ビダン
第三節 決断 第五話(通算95話)
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レコアの《リックディアス》を先頭に二機の《ジムU》が続く。パーソナルエンブレムから一機はランバンの機体、もう一機はカミーユの機体であることが解るが、カミーユ機に誰が搭乗しているのかまでは判らない。
急速に近づいた二機の《ジムU》はカミーユとエマの盾になるように張り付いた。レコアは牽制の弾幕をいつでも張れるように先行して警戒を怠らない。カミーユの全周天モニターにランバンのパーソナルエンブレム――《夢喰いの貊》が大写しになった。
――カミーユ!先に撤退しろ
言いながらランバンが《アーガマ》の正確な位置情報を接触通信で送って寄越した。カミーユは受信するや、短く「了解!」と返事して、踵を返す。エマも同様に《アーガマ》を目指していた。
エマの策戦は人質の救出作戦である。もし追撃隊が来るなら迎撃するまでだが、基本的にはエマとカミーユが撤退する時間を稼げばよいだけだ。長引くなら、、二人が戦線に復帰するまで粘ればいいだけである。しかも、《アレキサンドリア》はカミーユの突発的な行動でカタパルトが使えなくなっていることを考えれば、ティターンズの追撃隊が出てくるまで、まだ時間的な余裕はあると考えられた。
――散開セヨ
レコアの《リックディアス》のモノアイが明滅した。光通信による暗号通信である。ミノフスキー粒子撒布下における通信は指向性のレーザー通信か光通信があるが、MS同士の非接触通信としては光通信が最も信頼できた。
三機のフォーメーションはレコアを頂点とした三角形の面を敵に対した防禦陣形だ。時間を稼ぎに攻撃陣形は必要はない。
配置につき、逆噴射を掛け相対速度を0に殺すと、《アーガマ》からの掩護射撃が始まった。
まだ《アレキサンドリア》から追撃のMS隊のあがる気配はない。レコアはじっと息を殺して、周囲を監視する。いっそこちらから仕掛けるか――そんな気も起きる。だが、今は撤退戦である。戦わずに済むなら、それに越したことはない。それより、ランバンたちが焦れて飛び出さないかどうかの心配が先だった。
(来たっ!)
メガ粒子の光束帯がレコア機の近くを通過していく。《アレキサンドリア》が《アーガマ》に対して発砲した流れ弾だ。相対距離はまだ数十キロメートルはある。牽制であるのは間違いない。互いの有効射程内とはいえ、範囲ギリギリのところだ。二隻ともの主砲の射程距離にそれほどの差はない。《アレキサンドリア》としてはMS隊を出撃させるまでの時間稼ぎをしているつもりだろう。
「このままなら、逃げ切れるわね」
安堵した途端、センサーが別の方角から侵入する機影を察知した。警報が鳴り、望遠映像が出る。最大望遠でも点ほどの大きさしかない敵機らしきものを、よくぞ識別したものだった。そして、その方角は、レコアたちが張った防
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