暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第2章】第一次調査隊の帰還と水面下の駆け引き。
 【第5節】敵をあざむくには、まず味方から。
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
から少し離れると、カナタはもう耐え切れずに小さく舌を打ってボヤき始めます。
「何だか、今もボクらの背中にミョーな視線が突き刺さってたよネ。ああ〜。もう、イヤ〜な感じ〜!」
「正直に言って、魔法一貫校の一般参観日に、母様たちが二人そろって私たちの訓練の様子を見に来てしまった時のような気まずさでしたね」
「あ〜、あの時もヒドかったネ。母様たちの姿に気づいた途端、教官までガチガチに緊張しちゃって。(苦笑)」
「あの訓練法も本来、なのは母様が教導隊の方で空士用に作ったプログラムを、陸士向けに調整し直したモノだったと言いますからね。まあ、無理もありませんよ」

【後に、その一連の訓練法は「高町メソッド」と名づけられて、一般の訓練校にも普及してゆくことになります。】

 そこで、カナタはふと軽い不平を漏らしました。
「母様たちも有名人なんだから、ああいう時は少しぐらい変装とかして来ればいいのにサ」
「いえ。あの時は、母様たちもそれなりに変装して来ていたのに、カナタが喜んで手を振ったりしたから、気づかれてしまったんですよ?」
「あれっ? そうだったっけ?」
 二人は顔を見合わせ、軽く笑い合います。
「まあ、私たちは昔から『家族ぐるみの付き合い』をしてしまっているので、今ひとつピンと来ないのですが……よく考えてみれば、八神提督はあの母様たち以上の有名人な訳ですからねえ」
「ボクらみたいな無名の新人は、普通の局員たちから『何かのコネを使った』とか思われても仕方が無いのか……」

「まあ、或る意味、『縁故採用』であること自体は否定できませんが」
「いくらコネがあっても、実力が無ければ、ハネられてるっつーの! ……これでもし提督が男性だったら、ボクら、絶対に『枕営業してる』とか思われてるよネ」
「いや。私たちの年齢でそれをやると、明らかに違法行為なんですが。(苦笑)」
「ああ。相手が14歳以下だと、提督の方がタイホされちゃうのか。(笑)……ところで、ツバサ。(ひそひそ声で)八神提督が昔、『セクハラ大魔王』と呼ばれてたって、ホント?」
「いや。そのアダ名は、今、初めて聞きました。しかし、一部で『乳もみ魔』と呼ばれていたのは本当のことだそうです。もっとも、『抱きつき魔』のミカゲさんが養女として八神家に来てからは、もうあまり()まなくなったという話ですが」
「うん。まあ……乳もみなら、大丈夫だな。ボクらには、まだ無いし!」
 カナタは(たい)らな胸を張って、そう開き直りました。(笑)

 そんなおバカな会話をしているうちに嫌な気分もすっかり収まったようです。二人は部屋に戻ると、一休みしてからまた手早く荷物をまとめたのでした。



[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ