【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第2章】第一次調査隊の帰還と水面下の駆け引き。
【第3節】メグミの不安とゲンヤの懸念。
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ゲンヤもようやく緊張を解きます。
「ああ、構わねえよ。と言うか、お互い、堅苦しい挨拶はこれぐらいにしようや」
「そう言っていただければ、幸いです」
「で? この俺に一体何の用だい?」
「実は今、不躾ながら、知っていそうな人に手当たり次第、尋ねて回っているところなのですが……ナカジマ二佐は、なのはさんの入院先について何か御存知ありませんか?」
「はあ? 何だよ? 高町の嬢ちゃん、今、入院してるのか?!」
あまりにも予想外の話題に、ゲンヤは思わず声が上ずってしまいました。
しかし、その声を聞くと、通話の相手はまた対照的に沈んだ声を上げます。
「それ自体を、御存知なかったのですか?」
「ああ、初耳だよ。……で、見舞いとかには行かなくていいのかい?」
「はい。私もそう思って、まずは入院先を確認しようとしたのですが……どうやら、特秘事項あつかいのようで、誰も知らないのです」
「誰も知らねえって……ちょっと待てよ。だったら、あんた、あの嬢ちゃんが入院してるってこと自体は、一体誰から聞いたんだ?」
「つい先日のことなのですが、カルナージで、マダム・メガーヌからお聞きしました。マダムは『小耳にはさんだ話』だと言っておられましたが……」
ゲンヤは、クイントが生きていた頃には、彼女の同僚であるメガーヌとも当然に親しく「家族ぐるみの付き合い」をしていました。クイントが死んでからは、もう長らく会っていませんが、それでも「旧知の間柄」です。
(いや。しかし……あの世界に住んでて、一体どこからどう小耳にはさむんだ? 昔から妙にいろいろな事情に通じてる人だと思ってはいたが……。)
ゲンヤは、内心では首をひねりながらも、こう答えました。
「そうかい。彼女の言葉なら、まず間違いはねえだろうと思うが……何だか済まねえな。せっかく頼ってくれたっていうのに、何の役にも立てなくってよぉ」
「いえ。とんでもない! こちらこそ、随分と不作法な御連絡をしてしまって……お詫びいたします」
「まあ、そんなコトは別にいいって。……それより、嬢ちゃんの入院先が解ったら、俺にも教えてくれや」
「はい。それはもう、必ず」
相手の用件が終わったところで、ゲンヤも一旦はそのまま通話を終えようとしたのですが、ふと思い直して、また会話を続けました。
「ああ。それと、話は変わるんだけどよ」
「はい?」
「俺の方からも、ひとつ訊いていいかい?」
「はい。私に解るようなことでしたら、どうぞ何なりと」
そこで、ゲンヤは試しにティアナの所在について何か知らないかと尋ねてみたのですが、やはり特秘事項あつかいなのか、何も解らないようです。
「御期待に添えず、申し訳ありません」
「いや、なに。それは、まあ、お互い様さ」
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