【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第2章】第一次調査隊の帰還と水面下の駆け引き。
【第3節】メグミの不安とゲンヤの懸念。
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
話だし、ウェンディは今もティアナと一緒に動いてるはずだろ?」
「ですよね。……でも、スバル姉さんとディエチ姉さんとノーヴェ姉さんは?」
「どうやら、何か特秘事項が絡んでるらしくてなあ。俺も、具体的な話は何も聞いちゃいないんだが……。しかし、スバルの『あの』口ぶりからすると、大方、ティアナに手を貸しに行っただけなんじゃねえのか? そう言えば、ティアナも年が明けた頃だったか、『今回の案件は、また随分と面倒な代物になりそうだ』とか、ぼやいてたからなあ。存外、ディエチとノーヴェも一緒なのかも知れねえぞ」
「まあ……ティアナさんが一緒なら安心できるんですけど」
どうやら、一般の大衆と同様、メグミも「執務官」という存在に対しては絶大な信頼を寄せているようです。
メグミはゲンヤの言葉で一応は納得してくれたようですが……。
しかし、実を言うと、管理局の内部事情に明るいゲンヤ・ナカジマ二佐には、また別の懸念がありました。
(だがよ。スバルも今では二等陸尉、立派な士官様だ。普段は閑職に追いやられてるような身の上でもねえ。……平の陸士ならばまだしも、いっぱしの士官を部隊から引っこ抜いて自分の補佐官に据えるなんてことは、通常の「執務官権限」でできるはずがねえんだ。
つまり、もし本当に、スバルたちが今、ティアナの許へ行ってるのだとしたら、それはティアナよりも「上」の力が働いたってことになる。……まさかとは思うが、あの「チビだぬき」が、また何か面倒なコトを始めてるんじゃねえだろうなあ……。)
【さすがは、ゲンヤ師匠。大当たりです!(笑)】
ゲンヤがひとつ大きく息をついたところで、ふとテーブルの上に置かれていた通信用の端末が着信音を鳴らしました。
この着信音からして、私用の通話ではありません。
「この音は……お仕事ですか? 振替休日なのに」
メグミも思わず、少し驚いた声を上げます。
しかし、発信者の名前を見たゲンヤの驚きは彼女の驚きを遥かに超えるものでした。もちろん、その名前は知っていましたが、直接に話をするのは初めての相手です。
「ああ。済まねえな。ちょっと席を外させてもらうぜ」
ゲンヤは内心の動揺を巧みに隠しつつ、マユミの体をメグミの手に渡しました。メグミはうなずき、見もしないテレビをつけて、わざと音量を上げます。
ゲンヤは端末を手に急いで部屋を出ると、ドアを閉め、廊下を歩きながら音声のみの回線を開きました。
「おう。こちら、ゲンヤ・ナカジマ本人だ」
「いきなり申し訳ありません。実は、これは私用の通話なのですが、そちらの私用の番号が解らなかったので、部隊の方に問い合わせて公用の番号にかけさせていただきました。突然の不作法を、どうぞお許しください」
相手が随分と下手に出て来たので、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ