【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第2章】第一次調査隊の帰還と水面下の駆け引き。
【第2節】ナカジマ家、トーマとメグミの物語。
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姉たちが誰かしら家にいる休日を利用して)7〜8月のうちに急いで車の免許を取りました。
メグミも8月の末には、ようやく車椅子なしで、松葉杖だけでも歩けるようになったので、9月からの新学期開始に合わせて、最寄りの(それでも、ナカジマ家からは少々距離のある)普通科学校の中等科に2年生として転入しました。
あの事故から何か月かは休学していた形ですが、元々成績の良い子なので、学業の方は全く心配ありません。
そして、トーマは以後、丸一年半の間、「無職のまま」毎日、欠かすこと無く、喜々としてメグミを車で中等科の学校まで送り迎えするようになったのでした。
メグミは、元々が両親の第一子だったからでしょうか。
実のところ、彼女は物心つく前からずっと、両親から『あなたはお姉ちゃんなんだから』という叱責めいた言葉ばかりを聞かされて育ちました。我儘の一つもマトモには言えぬままに、『人生とはこういうものなのだ』と諦観して育ちました。
しかも、彼女の両親は元々「駆け落ち」も同然に結婚を強行した夫婦で、その後も「親戚づきあい」というものを一切して来なかったため、彼女の周囲には「何かしら手を貸してくれる祖父母やオジオバ」のような親族も、一人もいませんでした。
要するに、彼女は今まで、あまり他人に甘えることなく、我慢ばかりして生きて来たのです。
メグミが、『実家ではともかく、ここナカジマ家では自分は「末っ子」なのだから、自分は父や姉たちや兄に、もう少しぐらいならば甘えても構わないのだ』と自然に思えるようになったのは、実のところ、8月に入ってからのことでした。
それでも、最初のうちはどうにも「距離感」がつかめず、少し腰の引けた「遠慮がちな甘え方」しかできなかったのですが、ナカジマ家の人々がみな本当に自分のことを大切に思ってくれている人ばかりだと解ると、ようやくもう少し突っ込んだ「相手にも満足してもらえるような、上手な甘え方」が出来るようになりました。
それで、彼女はしばらくの間、小児の頃の不足分を埋め合わせるかのように「少し精神年齢の低い甘えっ子」のようになっていました。
特に「お兄ちゃん」に対する甘え方は少々度を越しており……。
学校ではすぐに友人もできましたが、仲の良い友人から『メグミのお兄さんって、カッコ良いよネ。ちょっとシスコン気味だけど』などと軽くからかわれても、『うん。でも、それぐらいでちょうどいいの。私もちょっとブラコンだから』と笑って返して、友人たちからは『アンタ、それ、自分で言っちゃうの?』と呆れられてしまう、などといった場面もありました。
選んで悪く言うならば、この頃のトーマとメグミの関係性は、確かに「軽度の共依存」だったのかも知れません。
しかし、世の中には「毒
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