暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第2章】第一次調査隊の帰還と水面下の駆け引き。
 【第1節】アインハルト執務官、帰還せず。
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、第一次調査隊は(おこた)りなく、本来の目的である「基礎調査」を進めていました。
 軌道上から見ると、その惑星の七つの大陸のうち、五つは同じ側の半球に集中しており、それらの五大陸は「やや東西に長い楕円形の海」の周囲をぐるりと取り囲むように配置されていました。南側の大きな二大陸は赤道を越えて南半球にまで拡がっており、北側の小振りな三大陸はおおよそ「長軸を内海の側に向けた楕円形」のような形で、その内海から放射状に、北東へ、真北へ、北西へと拡がっています。
 そして、南側の二大陸も「裏側」の二大陸も完全に無人で、現地の人々は何故か北側の小さな三大陸にのみ居住していました。
 軌道上には人工衛星の(たぐい)が一個も無く、地表でも電波が飛びかっている様子は全くありません。どうやら、まだそういう文明段階ではないようです。
 それでも、都市と(おぼ)しき人口密集地は随所に存在していたので、調査隊はまず幾つかの大きな都市に、ステルス機能のついたサーチャーを投下して、現地の住民には気づかれないように、慎重に彼等の会話音声やさまざまな映像を拾い集めました。
 じきに、「その世界で最も中心的な役割を果たしている都市」が特定されます。
 その上で、いよいよ調査隊の魔導師らは入れ替わり立ち替わり、その都市の近辺に潜入して実地調査を始めたのでした。

 その世界の名は、ローゼン。その都市の名は、アウグスタ王国の王都ティレニアと言いました。
 現地の人々はみな、古代ベルカについても(極めて断片的な知識ではありますが)一応は知っているようで、彼等の魔法の体系もどうやら「古代ベルカ式」から派生したもののようです。
 ただ、通常のベルカ式とは大きく異なる点が一つありました。或る種の結界魔法の多用です。
 しかも、彼等が使う特殊な結界には……AMFのような「魔法全般」の無効化では無いのですが……「外に向けた魔法」に限って強く抑制する効果がありました。
 そうした「抑制結界」の中では、魔力を自分の内側へ向けて使うタイプの魔法(変身や身体強化など)は全く普通に使えるのですが、魔力を自分の外側へ向けて使うタイプの魔法(攻撃や移動、転送や通信など)は、出力を普段の「何十分の一か」にまで抑え込まれてしまいます。
 そして、彼等は「敵」を発見すると、闘技場ほどの広さの結界で自分たちもろとも敵をその中に閉じ込め、その上でローゼン式の一種独特な格闘術で一斉にその敵に襲いかかるのです。
 これでは、ミッド式の普通の(せいぜい陸戦B〜Cランク程度の)魔導師たちには、最初から勝ち目などありません。

 ローゼン世界は、今も「古代ベルカ」と同じように幾つもの王国に分かれており、人々の生活様式もおおむね中世風でした。
 三大陸の〈十七王家〉はアウグスタ王家を「盟主」に掲げて連合し、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ