暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第1章】教会本部、ヴィヴィオとイクスヴェリア。
 【第4節】ヴィヴィオと三人のシスターたち。(後編)
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知事が弾劾裁判で有罪判決を受けた直後に行なわれた選挙で、どの陣営もあまり準備ができていない短期決戦だったんですが、彼女は老若男女からの広い支持を集め、ブッチギリの得票数1位で、決選投票も何も無しに、そのまま州知事に選出されました」
「え〜。じゃあ、彼女は今、首都で州知事をやってるんですか?」
「はい。この2年間で、暗殺未遂事件も公表されたものだけで4回ほど、ありましたけどね。〈リベルタの英雄〉の二つ名は伊達(だて)ではありませんよ。
 三回目の時は、街頭演説の最中にSPよりも多人数の集団に襲撃されたんですが、彼女は長剣を振り回して来る男たちを、自分の手足でバッタバッタと()ぎ倒しました。私もたまたま近くで観てたんですが、『リングの外でいきなり襲撃されて、これができちゃう人って、本当にいるんだ!』と驚愕しましたよ。
 大半の聴衆は、もう映画でも見ているかのような大喝采(だいかっさい)で……サラさんの対応があまりにも見事だったので、中には『台本どおりのパフォーマンスか?』と勘違いしてしまう人までいたぐらいでした」
「……私、政治向きの話はよく解らないけど……そういう人には、是非とも頑張ってほしいものですねえ」
「ええ、彼女は本当に頑張ってますよ。今、メラノスでは、汚職も凶悪犯罪も違法薬物も、ものすごい勢いで減少しています」
 ユミナはまるで現地の人間のように、自慢げな口調でそう(こた)えました。

 それからまたしばらくして、ヴィヴィオはふとした出来事を思い出し、またこんな言葉を続けました。
「あ。そう言えば、ファラ。話は変わるんだけどさ。昨年の今頃、中等科の『卒業10周年記念』の同窓会があってね。私は仕事で出られなかったんだけど、何だか、ファラは『行方不明あつかい』になってるみたいだよ」
「もういいですよ、そのままで。(苦笑)」
 ファラミィは「それほど親しい訳でも無かった昔の知り合い」とは、もう会いたくもないようです。


 こうして、しばらくは楽しい「合宿生活」が続いたのですが……それから二十日あまりの後、同4月の26日には、ヴィヴィオたちの許に思わぬ悲報がもたらされてしまったのでした。



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