【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第1章】教会本部、ヴィヴィオとイクスヴェリア。
【第4節】ヴィヴィオと三人のシスターたち。(後編)
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い気持ちで愚痴を言った』というだけのことだったのかも知れないけど、話が伝わっていくうちに、大袈裟な表現になっちゃったんだろうね。
コロナも時おり、『両親の身長から考えて、私ももう少しぐらいは背が伸びるだろうと思ってたんですけどねえ』なんて言ってるし。……ああ! もちろん、コロナの場合は、本気で愚痴を言ってる訳でも何でも無いんだけど」
「ああ。私もまさか、自分がこんな体格になるとは思っていませんでした。(苦笑)」
「ミウラさんも一時期よく言ってましたけど、グラックハウト症候群はさすがに予想なんてできませんよねえ」
ヴィヴィオはヴァスラの言葉にそう応えてから、今度はユミナに話を振りました。
「ところで、リベルタの方では、IMCSの人気が下火になったりはしてないんですか?」
「はい。82年に、サラ・フォリスカルが再び次元世界チャンピオンになって以来、人気は全く衰えていません」
「ああ、そう言えば、アインハルトさんも、その年には『背負っているものの重みが、私とは違い過ぎた』とか言ってましたっけ」
「それは、どういう意味なんですか?」
ヴァスラの問いには、代わってユミナが答えます。
「リベルタでは、81年に、いわゆる『首都半壊事件』が起きて、とんでもない数の被災者が出たんですが、彼女もその中の一人でした。ですから、首都メラノスの復興がなかなか進まない中、彼女は『打ちひしがれた幾百万の人々に、ひとつでも明るい話題を』と奮起して、そうした人々の期待を一身に背負って世界代表戦に出場していたんです。
少し嫌な言い方になってしまいますが、それに比べれば、アインハルトさんの方は、ただ単に『仲間や御先祖様の想い』を背負っていただけでしたからね。
それでも、サラさんとアインハルトさんとの準決勝は、内容的には事実上の決勝戦でした。サラさんとの決勝戦の相手は、試合後に『これで勝っちゃったら、私、悪役じゃないですか』なんて、まるで勝ちを譲ったみたいなことを言ってましたけどね。(苦笑)あの当時、私の正直な感想としては、『あんな試合の内容で、よくもまあ、そんなことが言えるなあ』という感じでした」
そこで、ユミナはふと話題を変え、妙に嬉しげな表情で、ヴィヴィオにこう話を振りました。
「そうそう。そのサラ・フォリスカルですけど、彼女が今、一体何をやってると思いますか?」
「え? いや。ちょっと、そこまでは押さえてないんだけど……」
ヴィヴィオがやや当惑した表情を浮かべると、ユミナは何やら少しばかり得意げな口調でこう語ります。
「リベルタでは被選挙権は一律30歳からで、メラノスを乗せた巨大人工島は単独で首都特別州という扱いなんですけどね。一昨年の春、彼女は30歳になると即座に、首都特別州の州知事選挙に立候補しました」
「ええ……」
「前
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