【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第1章】教会本部、ヴィヴィオとイクスヴェリア。
【第4節】ヴィヴィオと三人のシスターたち。(後編)
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いろいろあるんだけど、やっぱり、直近では四年前の『テッサーラ・マカレニア事件』の影響かなあ?」
「テッサーラ・マカレニアって、確か、アインハルトさんが引退した後に、都市本戦で連覇した人ですよね? その次の年には、少し変な形で引退した……」
「……ああ! 自分が最後にKOされた時の相手選手ですね?」
ユミナとヴァスラの声に、ヴィヴィオは大きくうなずきました。
「無所属の選手だったから、引退後はしばらく名前を聞かなかったんだけどね。彼女はその後、薬物中毒で傷害事件を起こした挙句、逃亡先でそのまま中毒死しちゃったのよ」
「「ええ……。(絶句)」」
【これは、強いて日本に当てはめれば、『夏の甲子園で母校を優勝に導いた立て役者が、ほんの数年後に麻薬で身を持ち崩した』といった感じの事件です。悪い意味で、一般世間の注目を集めてしまったのも無理は無いでしょう。
もしも日本で現実にそのような事件があれば、風評被害が「高野連」や「夏の甲子園」そのものにまで及んでしまうのと同じように、新暦91年以来、DSAAやIMCSもさまざまな風評被害を受けていたのでした。】
「他にも……確か、私の膝が壊れた次の年にも何か似たような事故があって、クラッシュエミュレート・システムの安全性に疑問の声が上がっちゃったこととか……。それから、医学的な根拠は全く無いんだけど、『大人モードへの変身魔法は小児の体の自然な成長にとって、むしろ妨げになる』なんて話が出て、多くの親たちがそれを真に受けてしまった結果、自分の子供の出場を応援しなくなっちゃったこととか……。いろいろな理由が、少しずつ積み重なったんだと思うわ」
「ああ。その風説なら、私も聞いたことがありますけど……。やっぱり、あれって、根拠の無い話だったんですね?」
ファラミィの声にも大きくうなずいて、ヴィヴィオはさらに説明を加えました。
「うん。ごく大雑把に言うと、大人モードへの変身魔法は元々、『自分が大人になった時の姿を明確にイメージした上で、それをバリアジャケットのように実体化させて身にまとう』みたいな魔法だからね。もちろん、それなりの魔法資質も必要なんだけど……そうしたイメージにはどうしても『理想像』が混入するし、実際に大人になった時に、小児の頃にイメージしたとおりの姿にはならないことも意外と多いんだ。
その点を勘違いして、理想化されたイメージを『本来のあるべき姿』と思い込んでしまうと、実際に大人になってから『こんなはずじゃなかった!』とか言い出すのよ」
「それで、自分の姿が理想どおりにならなかったのを、魔法の副作用のせいにする、という訳ですか? 何だか身勝手な話ですねえ」
ファラミィも、さすがに呆れ顔です。
「まあ、最初はただ『誰かが軽
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