【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第1章】教会本部、ヴィヴィオとイクスヴェリア。
【第4節】ヴィヴィオと三人のシスターたち。(後編)
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ドでは妻子のために我慢をしていただけで、こちらの方が「本来の人格」だったのでしょうか? また、当時13歳の「多感な少女」だったヴァスラにとって何よりも耐え難かったのは、本来は一般人だったはずの母親までもが、じきにそれに感化されて人格が変わってしまったことでした。
『あんなの……私の知ってる父さんと母さんじゃ無い!』
そんな家庭環境に耐えきれず、ヴァスラは地元のジムに入り浸って、かなり無茶なスケジュールで試合を繰り返し……頭部に衝撃を受け続けているうちに、やがて「グラックハウト症候群」を発症してしまいました。
そして、ヴァスラは、父親が陰でこう言っていることを知りました。
『せっかく俺が政略結婚の相手を探してやっていたのに、あんな変な病気にかかりやがって。あれ以上デカくなったら、商品価値が落ちるだろう!』
さらに、兄までもがすでに「向こう側の人間」になっていると知って、ヴァスラはついに「ノーブリュグゼ家」とは縁を切る決意を固めました。
しかし、セクターティには、ミッドのような「法定絶縁制度」がありません。そこで、ヴァスラは高等科を卒業すると同時に、着の身着のままで地元の聖王教会に駆け込み、そのまま「出家」しました。
後悔など微塵もありませんが、ただ一つ「心残り」があるとすれば、それは、愛する妹フォルナをあの家に残して来てしまったことです。】
そして、ヴィヴィオが無言のまま小さくうなずいて見せると、ヴァスラは床にひざまずいた姿勢のまま、さらにこう言葉を続けました。
「それから4年ほどして、昨年の今頃には、自分も〈修道騎士〉として正式に叙任されたのですが、ちょうどその頃、前年に〈本局〉の方へ転属になっていた管理局員の友人から、何かの拍子にヴィヴィオさんの話を聞いたんです。『今は無限書庫で上級司書をしてるけど、何だか少し右膝が悪いらしい』と。
それ以来、『やはり自分のせいなのか』と、ずっと気になって、『時間が空いたら、すぐにでも〈本局〉へ行って、面会を申し込んで』などと、もう毎日のように考えてはいたんですが……」
「まあ、修道騎士の一年目ってのは、どこの教会でも、基本的に休暇なんて取れないからねえ」
セインは肩をすくめつつ、そう助け舟を出しました。
「あ〜。そう言えば、セインも一年目は……〈エクリプス事件〉の前の年だったっけ? 何だか、ゼンゼン身動きが取れずにいたよね」
「うん。あたしは〈JS事件〉以来の『保護監察処分』のせいなんかもあって、正式な叙任は随分と遅くなっちゃったんだけどね。あの年は、イクスのお世話まで、しばしば他人任せになっちゃって……ホント、大変だったよ」
「それで、二年目の今年は、たまたま騎士団長の方から『お前は総本部
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