暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第1章】教会本部、ヴィヴィオとイクスヴェリア。
 【第3節】ヴィヴィオと三人のシスターたち。(前編)
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とまで言ってくれたんだけどね。
 さすがに、それは『格闘家として、恥の上塗りかな?』って気もしたし……結果にかかわらず、IMCSへの参加はその年を最後にすると前から決めてたんだし……それに、実際に歩いてみたら、普通に歩くだけなら何の問題も無いと解ったし」

「え? でも、あの損傷の具合からして……例えば、階段を下りる時とかは、ちょっとキツくないですか?」
「うん。まあ、確かに、階段とかはそうなんだけど……それも、いざとなったら右脚全体を魔法で外部操作してしまえば済むことだし。もちろん、私の魔力量では、『毎日毎日、朝から晩まで外部操作』って訳にもいかないんだけど。
 それに何より、私自身が、この傷はあえて残しておいた方が良いんじゃないだろうかと思ったんだ。常に自分への戒めを忘れないようにね。……だから、ヴァスラさん。この件に関しては、もう『私に謝ること』を禁止します。いいですね?」
 ヴィヴィオはほほ笑みながらも、少し強引な口調でそう話を締めくくりました。
「はい。……解りました」
 ヴァスラは少し震えた声でそう答えると、思わずヴィヴィオの前にひざまずき、両手を伸ばしてヴィヴィオの手を取りました。
 そして、ほとんど「罰を求める罪人(つみびと)」の口調で、こう問いかけます。
「でも……それで、後悔はありませんか?」
 それでも、ヴィヴィオはもちろん、罰を(くだ)したりはしませんでした。

「うん。確かに、最後をきれいに締めくくることができなかったのはちょっと残念だったけど、それでも後悔なんて無いよ。……私は元々、『特定の目的のためだけに造られた命』だったから。いざ、その(くびき)から解き放たれてみると、『自分は何をなすべきなのか?』とか、『自分には何ができるのか?』とか……いや、そもそも『自分は何がしたいのか?』すら、自分でもゼンゼン解らなくて……。
 だから、必要以上にアレコレと手を拡げて……その中でも、ストライクアーツは、たまたま友人や師匠に恵まれたから、何年も続けることができただけであって……。もしも一人きりだったら、IMCSに参加すること自体が、できてなかったんだろうと思う。
 自分の魔力資質が格闘型じゃないってことは最初から解ってたし……こういう言い方をすると、本当に生涯を賭けて真剣に武術や格闘技に取り組んでる人たちからは怒られちゃうのかも知れないけれど……『多分、いつまでも続けられるコトじゃないだろう』っていうのも、実は最初から解ってたコトなんだ。
 ただ、好きだったから。……だから、一度ぐらいは、自分なりの力で行けるギリギリのトコロまで行ってみたいと思った。そして、実際に大体そのあたりまで行った! 結果はともかく、やれる限りのコトをやり切ったんだから、もう何の後悔もあるはずが無いよ。
 だからね、ヴァスラさん
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