【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第1章】教会本部、ヴィヴィオとイクスヴェリア。
【第3節】ヴィヴィオと三人のシスターたち。(前編)
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上位入賞もできたんだけど……。
あの年は、『引退した三人の分まで頑張るんだ』って、コロナとアンナも、初出場のプラスニィとクラスティも気合い満々で……なおかつ、私とコロナはあれだけの好カードに恵まれて、その中で本当に上手に全力を出し切って……それでも、私は都市本戦の準決勝進出が、コロナも準々決勝進出がやっとだったわ」
「お二人は、確か、3位と7位でしたっけ?」
「うん。それで、他の三人はともかく、私とコロナは『良い意味で燃え尽きた』みたいな達成感なんかもあったんだけど、悪く言うと、このあたりがもう『自分たちの限界』なんだと解っちゃったって言うか。……ああ! それは、もちろん、『IMCSのルールの中では』って意味なんだけどね」
ヴィヴィオは慌てて、末尾にそう付け加えました。
それから、また一拍おいて、ヴィヴィオはこう言葉を続けます。
「それで、私もコロナもしばらくは、すっかり気が抜けてたんだけど、じきに『高等科を卒業したら、進路が分かれる』ってコトが改めてはっきりして……。そこで、どちらからともなく、『じゃあ、やっぱり、次を最後にしよう』って話になって。
それで、85年の第33回大会には、二人とも進路の問題とか、テロに遭ったノーヴェやリオの心配とか、いきなり入院したユーノ司書長の件とか、あれこれと悩みを抱えたまま出場しちゃったんだよね。まあ、揃って都市本戦にも出られなかった以上は、今さらここで何を言っても、ただの言い訳にしかならないんだけど……。
コロナはまだしも、私はひどかったなぁ。エリートクラスの選手が、一回戦の1ラウンドでルーキーに負けちゃうなんて……。当時としては、第27回のミカヤさん以来、6年ぶりの珍事だったわ。
いや! あの試合と同列に論じるのは、いくら何でも、ミカヤさんに対して失礼よね。ミカヤさんはきちんと戦った上で惜しくも競り負けたんだけど、私はきちんと戦う前に、いきなりドクターストップだったんだから」
ヴィヴィオはあえて〈セイクリッド・ハート〉の不調については言及しませんでした。10年前のあの事故以来、クリスは自責の念から、ずっと「自閉モード」に入ったままになってしまっているのです。
ヴィヴィオがそう言って自嘲じみた笑みを浮かべると、ヴァスラはとっさに言葉を返します。
「いえ! あれは、その……何と言うか、純然たる事故であって……。本来ならば、物理ダメージも『クラッシュエミュレート』で疑似再現されるだけのはずなのに、まさか現実に靱帯が損傷するなんて……」
ヴァスラの方は見るも悲痛な表情でしたが、ヴィヴィオはそれにも笑ってこう応えました。
「うん。でも、まあ、事故が無かったとしても、クラッシュエミュレートで右膝が痛くて充分に動かせなければ、やっぱり、私があ
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