【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第1章】教会本部、ヴィヴィオとイクスヴェリア。
【第3節】ヴィヴィオと三人のシスターたち。(前編)
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頃のコトとか知ってる人?」
カナタのあからさまに何かを警戒した口調に、ヴィヴィオは笑って、ついこんな答え方をしてしまいます。
「大丈夫よ、二人とも。こちらは、あなたたちとは本当に初対面なんだから。えっとねえ……一番解りやすく言っちゃうと、私の右膝を壊した人よ」
「ああっ! 本当に、その節は……申し訳ありませんでした!」
ヴァスラの今にも泣き出しそうな声を聞いて、ヴィヴィオもすぐに今の言葉は「失言」だったと気がつきました。
「あ〜、ごめんなさい! 今のは、その……妹たちに解りやすいように言っただけで……間違っても、あなたのことを悪く言うつもりなんて無かったのよ。
それに、あれは、お互いにルールを守って試合をした上での『事故』だったんだから、あなたは元々、何も悪くないわ。あえて『誰が悪かったのか』と言えば、それは、目の前の試合に今ひとつ集中しきれていなかった私の方が悪かったのであって……」
「そうだね。あの時のヴィヴィオは、確かに、ちょっと雑念が入ってた」
セインも当時の状況を思い起こしながら、そう言葉を添えました。
「じゃぁ、姉様がボクらに『どんな時でも、常に目の前の状況に集中するように』って、よく言うのは、その時のコトを自省して言ってた言葉だったの?」
「そうね。今でも、ホント、反省してるわ。あの年は、ノーヴェがいきなり死にかけたり、リオもテロに遭って人格が変わっちゃったりして、私たちもいろいろと悩み事を抱えていたのは事実なんだけど……やっぱり、真剣勝負の舞台にまで、そんなモノを持ち込んでいちゃダメよね」
「ああ。そう言えば、姉様が自己最高成績を残したのって、最後の年じゃなくて、そのひとつ前の年のことだったっけ?」
カナタが少し自信の無さそうな口調でそう言うと、ヴィヴィオは大きくうなずいて、再び椅子に腰を下ろし、ふと遠い目をして「昔のこと」を語り始めました。
「うん。まあ……あの年は、上位選手たちが軒並み引退した直後だったからね……。私にとっては二回目になる第28回大会では、まずミカヤさんが19歳で『有終の美』を飾って。第29回大会では、ヴィクトーリアさんが同じように19歳で引退して……。
エルスさんやハリーさんやシャンテや他の幾人かも、その前後に相次いで少し早目に引退して。それから、あなたたちが生まれて間もない頃のことなんだけど、第31回大会では、アインハルトさんとミウラさんとリオまで早目に引退しちゃって……」
ヴィヴィオはそこで不意に言葉を切り、たっぷり3秒ほど追憶に耽ってから、またポツポツと語り始めました。
「正直なところ、第32回のミッド〈中央〉は、例年よりもちょっとだけ有力な選手の層が薄かったんじゃないのかな? まあ、そのおかげで、私とコロナは都市本戦で
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