【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第1章】教会本部、ヴィヴィオとイクスヴェリア。
【第3節】ヴィヴィオと三人のシスターたち。(前編)
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政府組織よりも先に、社会奉仕活動の一環として被災者支援に乗り出していました。
ただでさえ、「新暦81年」という年は「聖王昇天360周年記念」の年です。
『ああ。5月には、ミッドを始めとする他の諸世界とともに「記念祭」を盛大に祝ったばかりだと言うのに、9月になって、こんな大災害に見舞われてしまうとは!』
一般信徒らの中には、『リベルタは、聖王陛下から祝福されていない世界なのか?』と悲観してしまう者たちもおり、以来、聖王教会リベルタ本部は『この惨状を見過ごす訳にはいかない』と、被災者への支援と奉仕に総力を挙げていました。
そして、そうした奉仕隊の中に、リベルタではすでに名前の知れた「熟練の」老シスターがいたのですが、彼女は自分の命を削るようにして、昼も夜も休むこと無く、傷ついた人々の心から痛みや苦しみを取り除き続けていたために、いつしか〈リベルタの聖女〉と呼ばれるようになっていったのです。
また、ヴィヴィオにとっても〈エクリプス事件〉は「ママたち二人が揃って死にかけた大事件」なので、彼女は以前から、その事件と「その後のリベルタの状況」についても、それなりの関心を持って調べており、当然に〈聖女〉のことも聞き及んでいました。
「え? 聖女様のお伴って……それ、結構、大変なお役目だったんじゃありませんか?」
「はい。当時、私はまだ大した実績も無かったので、本当に大抜擢という感じだったんですけど」
「ええっと……。それじゃあ、そんな大切なお役目の途中なのに、どうして今日はわざわざこちらに?」
「はい。幸いにも、私は聖女様からは随分と親しくしていただいていたんですが、七日前に、その聖女様から突然、言われたんです。『ミッドに今、あなたのことを必要としている人がいるから、あなたはしばらくの間、総本部の方に戻っていなさい』って」
「え? 七日前って……私たちがここへ来ると決まったのが、まだ四日前のことなんですけど……もしかして、聖女様って、予言とかもできちゃうんですか?」
「いえ。聖女様ご自身は『これは予言ではなく、聖王陛下のお導きです』と言っておられました。その時点では、私もまさか『ヴィヴィオさん御本人のお導き』だとは思ってなかった訳ですけど。(笑)」
「いやいや、導いてませんから。と言うか、私は『御本人』じゃありませんから。(苦笑)」
二人でひとしきり笑い合った後、ユミナはまた言葉を続けました。
「それで、私は六日前から、こちらの本部に連絡を入れたり、身辺の整理をしたり、関係者各位へ御挨拶に回ったり、次元航行船のチケットを取ったりと、バタバタしていたんですが……三日前、船に乗る前日になって、カリム総長の方から『ヴィヴィオさんが今日からしばらく本部の方で暮らすことになったのですが、そのお世話役をやって
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