【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第1章】教会本部、ヴィヴィオとイクスヴェリア。
【第3節】ヴィヴィオと三人のシスターたち。(前編)
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そして、新暦95年の4月3日の朝。
第一次調査隊は、ベルカ世界を経由して「未知の新世界」へと向かうべく、いよいよ〈本局〉から一隻の次元航行艦で出航しました。
管理局としては全く異例のことなのですが、その様子は映像メディアでも多くの世界に生中継され、ヴィヴィオとカナタとツバサも食堂で朝食を取った後、隣の居間に移って三人でその特別報道番組をじっくりと視聴しました。
しかし、番組が終わると、カナタは早速、舌を打ってこんな不平をもらします。
「あ〜あ。インタビューは執務官の分もあるかと思って期待してたんだけどな〜」
「残念ながら、艦長さんの分だけでしたね。兄様はちらりとモブで映っただけで」
「まあ、アインハルトさんは、元々あまり出しゃばるタイプじゃないからね」
アインハルトがヴィヴィオのことを愛称で「ヴィヴィ」と呼ぶようになった今も、ヴィヴィオの方は従来どおり、アインハルトのことを「名前に『さん』づけ」で呼んでいるのでした。
さて、食堂の後片付けなどは全部、セインがやってくれていたのですが、番組が終わると、またすぐに食堂の方から「四人分の足音」が聞こえて来ました。
続いて扉がノックされ、セインの明るい声が届きます。
「三人とも、ちょっといいかな?」
ヴィヴィオが代表して『どうぞ』と応えると、セインはまず一人だけで居間に入って来ました。見るからに、何かを企んでいるような楽しげな表情です。
「どうしたの? セイン。何だか、すごく楽しそうな表情なんだけど。(笑)」
「うん。実は、ヴィヴィオにちょっとしたサプライズがあってね」
「え? 何かな?」
「ふふ〜ん。じゃあ、ヴィヴィオ。今日から、あたしの助っ人として、ヴィヴィオの身の回りの世話とかをしてくれる三人のシスターを紹介するよ」
「ああ! そう言えば、最初にここへ来た日に、セイン、そんなコト、言ってたねえ」
ヴィヴィオは、ようやくその件を思い出しました。
「うん。実は、三人とももう昨夜のうちに到着はしてたんだけどね。すでに遅い時間だったから、いきなり昔話を始めて夜更かしとかすると、そのまま寝坊をして、今朝の中継を見逃しちゃうんじゃないかと思って、今まで隠してたんだよ」
「え? 昔話って……もしかして、私の知ってる人?」
「御名答〜。じゃあ、まず一人目だ。さあ、入って。シスター・ファラ」
「どうも〜、長らくの御無沙汰でした〜。……って、ヴィヴィオさん、わたしのこと、覚えてますか〜?」
セインに促されて居間に入って来たのは、少しにやけた表情で、妙に俗っぽい印象のシスターでした。
「んん?」
ヴィヴィオは思わず立ち上がって彼女の容貌を見つめ、記憶の糸を何とか手繰り寄せます。
「ええっ! もしかして、ファラミィ?
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